国際会議「カタストロフィの哲学」2日目@パリ日本文化会館

国際シンポジウム「カタストロフィの哲学――フクシマ以後、人文学を再考する」が2013年3月15‐16日、パリ大学都市のハインリヒ・ハイネ館およびパリ日本文化会館で実施された。主催は首都大学東京(学長裁量経費プロジェクト「カタストロフィと人文学」)、国際哲学コレージュ、東京大学「共生のための国際哲学研究センター」、パリ日本文化会館である。この日の会は注目を集め、予約だけで130席が満席でキャンセル待ちが出た。

まず、西山雄二がカミュ『ペスト』とのアナロジーから、尽き果てることなきものに敏感であり続けるという人文学の誠実さを提示。ジゼル・ベルクマンは和合亮一のツイート詩を自分の東北の旅の感想と重ね合わせる。小林康夫は震災翌日にフランス出張に旅立った「原光景」を語り、安全な場所へ移動し脱出する運動の後ろめたさを告白。ミシェル・ドゥギーは震災追悼詩「マグニチュード」を朗読し、創作の経緯と反応を説明。J−L・ナンシーは、漢字から仮名表記に変わったフクシマが「quasi-concept(準概念)」であり、その本質を容易に把握しえない地点から発言。人文学がカタストロフィを論じるという困難や躊躇が会全体のトーンをなしていた。詳細は後日公刊される予定である。また、UTCPブログに星野太さんによる的確な報告がある→http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/blog/2013/03/1/