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講義内容

フランス語(中級)

以下、フランス語・中級レベルの講義です。「フランス語 I」で初級文法を一通り終えた学生が、2‐3年生時に履修するとよいでしょう。

フランス語Ⅱ801a 仲谷久美子 前期・月3

方針・テーマ:フランス語を実際に使うことの面白さ、楽しさ、新鮮さを味わいながら、日仏社会・文化の違いを一緒に考えていく方針。
目的・目標:フランス語の文章をどんどん読むので、読解力が磨かれる。また学生一人一人に会話練習をさせるので、フランスに行ったら即使える会話能力を高められる。と同時に、豊かなフランス語能力を基にして、日本を新たな視線で見直す力を獲得できる。

フランス語Ⅱ801b 仲谷久美子 後期・月3

方針・テーマ:フランスの児童文学の作品を読むことでフランス社会や文化を体感し、日本語や英語が出来るだけでは見えない世界を発見すること。
目的・目標:フランス社会や文化を「児童文学」という視点から眺めることで、フランスの新たな側面を見出すと同時に、日本の再発見をも目指す。語学レベルとしては、中級フランス語能力の獲得。

フランス語Ⅱ802a 木村正彦 前期・火4

方針・テーマ:ミッシェル・トゥルニエ(1924年~)作『フライデーまたは野生の生活』(1971年)を読んでいきます。本書は自然と文明の視点から『ロビンソン・クルーソー』の物語を書き直した作品です。
目的・目標:初級フランス語で学んだ文法の再確認。語彙力や読解力の向上。ロビンソンの生き残りを賭けた孤独な戦いと自由な野生生活の魅力を味わう。

フランス語Ⅱ802b 木村正彦 後期・火4

方針・テーマ:長期休業を利用してフランス旅行やホームステイをしてみたいという方にフランス語のさまざまな旅行会話フレーズを学んでもらい、フランス滞在をより楽しいものにしてもらうというのが授業の方針です。
目的・目標:旅先の各場面ですぐに使えるような実践的な会話表現を習得するとともに、知っていると便利なフランスの常識なども身につけて、フランスでスムーズにコミュニケーションができるようになるのを目指します。

フランス語Ⅱ803a・b 小川定義 前期・後期・水2

方針・テーマ:初級フランス語で習得した基礎知識を外国語としてのフランス語教材を用い、聴く・理解する・書く・読む・話す等、全方位的な運用能力の面で補強する総合的な中級講座。教科書以外にもフランスの週刊ジャーナル、ポッドキャスト、その他の教材を補って使い、フランスについての知見も広める。
目的・目標:フランス語中級語彙、表現、基本動詞の弾力的な活用、聴き取り能力。初級の再確認と上級への橋渡し。初級文法の十全なマスターと運用能力の基礎力養成を目標とする。また、時事的なフランス語のプリントにより、この方面の読解力も養う。

フランス語Ⅱ804aおよび b 谷川かおる 前期・後期・金3

方針・テーマ:サンテグジュペリ著『Le petit prince(星の王子さま)』講読。
フランス語基本文法をひととおり習得しても、実際の文学作品を原文で読もうとすると、さまざまな困難に出会う。そこで、この授業では親しみやすい『星の王子さま』を取り上げ、基本文法を復習しつつ、まずは文学作品の読解に慣れることを目標とする。また、何種類も出た翻訳本を比較することにより、翻訳のさいに犯しやすい間違い(担当教員の翻訳本の誤訳も含む)を検討する。次いで、たんに横のものを縦にするだけでなく、適切な訳語を探し、日本語表現を練る訓練をしたい。絵画制作にデッサンの訓練があるように、翻訳作業にもコツがあり、訓練しだいでかなり上達するものである。最終的には、学生ひとりひとりが、美しい翻訳『私家版・星の王子さま』をつくりあげることを目標とする。
目的・目標:・フランス語基本文法の復習ができる。
・文学作品の読解に慣れ、フランス語の文章の流れをつかむことができるようになる。
・自分の訳文だけでなく、他の学生の翻訳文もみなで検討するため、日本語表現について考え直すことができる。

フランス語作文Ⅰ 富田今日子 前期・後期・火4

方針・テーマ:初級文法を復習しながら、平易で自然な文章を書く練習をする。フランス語の音と構造を楽しみながら学ぶために、随時アトリエ・デクリチュールを行う。
目的・目標:フランス語で文章を書くことに慣れ親しみ、かつ自然で正しい文章が書けるようになること。フランス語で説明するときの論理の順序に慣れること。フランス語の言葉と綴り自分のフランスのビジュアルイメージを作成、簡単な仏仏辞典を使う、接頭語接尾語、アトリエ・デクリチュール、自分の名前でアクロスティッシュを作る、フランス語で説明する、文の仕組みを考える、主語と動詞から始まる文を書く、ポーズ・ポエジー韻を踏む楽しさ、都市名と交通手段の状況補語、e-mailを書く、つなぎの言葉、など。
教科書:A la ligne, 塩谷真由美・Louise Gonthier-Hosoï著、駿河台出版社

フランス語会話Ⅰ 富田今日子 前期・後期・火5

方針・テーマ:フランス語で自然な意思伝達ができるように、基本的な聴解能力と話す力を養います。
目的・目標 ②自然なフランス語が口をついて出てくるようになること。暗記するくらい繰り返し練習すること、それを少しでも毎日継続することで、この目標に到達できるはずです。挨拶・自己紹介とそれに関連する事項の学習、個人的な情報の伝達、自分や人の外見と性格の描写、フランスの象徴とブルターニュ、プロヴァンス、興味、趣味について話す、物の形、色、材質について話す、家族のことを話す都市や国々について話す、など。
教科書:SCENARIO I, Hachette

仏語学演習 藤原真実 前期・金4

方針・テーマ:フランス語検定試験3級合格を目標として、基礎的語学力の充実と強化をはかる。毎回の宿題として、指定された問題集から一定の範囲を課し、次回の授業のはじめにテストを行う。授業の後半はテストの答え合わせと解説に充てる。
目的・目標:フランス語検定3級程度の語学力
教科書:『完全予想 仏検3級筆記問題編』(駿河台出版社)

仏語史 石野好一 夏季集中

方針・テーマ:フランス語の生い立ちから現代にいたる歴史を通じて、フランス語の音、語彙、文法などの特徴を概観し、そこに隠されたフランス語の発想・文化を考察する。
目的・目標:フランス語の成立とその発展の歴史の考察を通じて、フランス語の音韻、語彙、文法などの特徴を知る。それによって、なぜ現代のフランス語がこのような形になっているのかを知る。またこれからフランス語がどういう方向を目指しているかを知る。さらにさまざまな表現の意味とニュアンスについて学び、それを使いこなす能力を身につける。
参考書:『フランス語を知る、ことばを考える』石野好一著(朝日出版社)。『フランス語の意味とニュアンス』石野好一著(第三書房)

フランス語(上級)

以下、フランス語・上級レベルの講義です。「フランス語 II」などの中級レベルを終えて、あるいはそれと並行して、3-4年生時や修士課程で履修するとよいでしょう。

上級フランス語 鈴木大悟 前期・火3

方針・テーマ:フランス語能力のさらなる向上。身近なフランス文化の理解。
目的・目標:読むことを中心とした中・上級フランス語の習得。視覚・聴覚教材など適宜利用し、手の届くフランス文化に親しむ。

上級フランス語 三浦直希 前期・後期・金2

方針・テーマ:この授業では、フランス語の基礎を一通り習得した受講者を対象として、より高度で実践的なフランス語を身につけるための訓練を行う。フランス語の力を磨くには、できるだけ多様な素材に触れることが有益である。たとえば古典的な文学で目にするフランス語と、ラップミュージックで用いられるフランス語には大きな違いがあるであろう。よってこの授業では、ジャーナリズム(新聞、雑誌、ニュースなど)、文学(小説、詩、戯曲など)、学術(研究書、論文など)、サブカルチャー(映画、ポップミュージック、マンガ、インターネットなど)、さらには日常的な会話や手紙など、さまざまな素材を用いてフランス語を読む/聞くこととする。少人数が予想されるため、受講者の要望もかなりの程度考慮可能と思われる。
目的・目標:多様なフランス語を正確に読み/聞き理解する能力。

上級フランス語 岡田真知夫 前期・後期・木5

方針・テーマ:中世フランスの三つの物語を、平易な現代フランス語でリライトしたテクストで読む。クレチアン・ド・トロワの『獅子の騎士(イヴァン)』=アーサー王もの、『エモンの4人の息子』=武勲詩、『フロワールとブランシュフルール』=冒険物語を1年間で読み切る予定。
目的・目標:「読み慣れる」という実感を味わって欲しいので、あえて平易なフランス語で書かれたテクストを選んだ。フランス語の発音と語形(とくに動詞の活用)および構文について、基本的なところを整理・確認しながら、中世文学の特徴にも触れたい。

フランス語作文Ⅱ カリオ・ヴァンサン 前期・後期・月2

方針・テーマ:L'objectif de ce cours est d'entraîner les étudiant(e)s à l'écriture en français.
目的・目標:Production de textes sur des thèmes varies: Journal intime(début), Courriels(emails), Cartes postales(vacances,voeux), Lettre de motivation, Curriculum vitae (CV), Résumé d'un extrait littéraire en français, Fiction, Commentaire des textes originaux du thème précédent, Projet de recherche fictive s'appuyant sur les trois derniers thèmes, Journal intime

フランス語会話Ⅱ カリオ・ヴァンサン 前期・後期・月3

方針・テーマ:L'objectif de ce cours est d'entraîner les etudiant(e)s à la conversation française quotidienne tout en renforant, par la pratique de l'oral, leurs connaissances grammaticales et lexicales.
目的・目標:Production de courts dialogues sur des thèmes variés.

仏語学演習 藤原真実 後期・金4

方針・テーマ:フランス語検定試験準2級の受験を視野に入れつつ、聴解と発音を中心に基礎的語学力の充実と強化をはかる。毎回出される宿題について、次回の授業のはじめにテストを行う。
目的・目標:フランス語検定準2級程度の語学力

仏語科教育法1 藤原真実 通年・金6

方針・テーマ:フランス語の初級文法の教授法を習得する。授業は教員と受講者による模擬授業を中心に行い、試行錯誤を重ねながら、よりよい教授法を追求する。また、発音矯正などにも力を入れる。
目的・目標:フランス語を教えるために必要な具体的な技術を習得することができる。

専門演習

以下、専門演習では、フランスの文学、思想、表象文化、言語、社会、歴史などを少人数形式で学びます。演習のスタイルや進度、評価方法は、担当教師によって異なります。

フランス語圏文学論 大久保康明 前期・月4

方針・テーマ:フランス16世紀文学、とりわけモンテーニュとその作物に関して、一定の展望を得ることが眼目の授業。とはいえ、学生諸君の知識・技能はもとより同じではないだろうと思われるので、内容・レベルには気を配るつもりである。
目的・目標:思索家・表現者モンテーニュある種の認識が得られるであろう。さらには、彼の作品を言葉としてとらえ、即物的な「語」や「表現」の位相で具体的につかむことが大切と考えるので、その面での体験を通じて作品と切り結び、その肌合い、肌触りといったものも感じとってもらいたいと思っている。

フランス語圏文学演習 井上奈緒美 前期・後期・月5

方針・テーマ:プルーストは、初期作品『楽しみと日々』から『失われた時を求めて』執筆までに非常に大きな飛躍をとげた作家である。それをプルーストの知識人化という点から取り上げる。前期は知識人という存在がどのように発展してきたかをソクラテスの「無知の知」を中心にして、聖アウグスティヌス、モンテーニュ、パスカルなどを経て二十世紀初頭のプルーストにどう展開しているかを考察することによって概観する。後期は「知識人」プルーストが作品をどのように創造したかをいくつかのキーワードを基に読み解く予定である。授業参加者は、研究発表、レポートができるように、授業で配布される資料を活用し積極的に授業に臨むこと。
目的・目標:知識とその知性化、創作、学問などとの諸関係についての考察が得られる。読解・発表・レポートについての実践的知識。学生の目標として、自分でテーマを決め、知識を収集し、その読解を知性化し、研究発表・レポートにすることが求められる。発表・レポートは日本語だけでもできるが、日本語とフランス語の両方で行うことが望ましい(発表はフランス語、レポートは日本語で行うなど)。授業参加者に不足している点は、個々に指摘し習得できる課題を出す。

フランス語圏文化史A 三浦直希 前期・火2

方針・テーマ:「遠くにいる他者の苦悩を目にした人間はどのように反応するのか」
 ある意味、現代ほど苦悩が日常に満ちあふれている時代はない。たとえば自分が一度も行ったことも今後行くこともない場所に住む存在すら知らなかった人々であっても、われわれはマスメディアの映像や写真のおかげで、彼らが悲惨な犠牲者となって苦悩する姿を目のあたりにすることができる。そのときわれわれはどう反応するのか。もし相手が目の前にいるのなら、ほとんどの場合には何らかの行動を取るであろう。しかし自己の生活圏とは無縁な遠くの苦しみの場合には、大部分はその場限りの反応で終わるであろう。それにもかかわらず継続的な行動が生じるなら、それはいかなるものでありうるのか。
 こうした問題について、この授業ではフランスの社会哲学者リュック・ボルタンスキー(『遠くの苦しみ』La souffrance à distance)が提起する三つの観点から考察する。1)そのような苦しみは何らかの不正に起因するとして憤慨し、原因を追及する「告発」ないし正義という反応、2)むしろ不正を追及するより被害者に同情し、無償に手助けする「感情」ないし愛という反応、さらには3)道徳的に中立の立場で苦しみを描写する「美的」反応である。受講者にはフランス語テクストの翻訳を行ってもらいながら、自己の考えを積極的に表明していただく。
目的・目標:・苦悩とメディア、苦悩と正義・愛・美の関係について思索を深め、論理的に思考し表現する力を得る。・フランス語の能力の向上。

フランス語圏文化史B 長谷川光明 後期・火3

方針・テーマ:大航海時代のヨーロッパ人にとって、旅行記の挿絵は、異境を垣間見るための唯一の視覚メディアであった。そして、旅行者は、東西インド(新大陸と東洋)で遭遇した自然や文物・住民を、「驚異」という価値観に基づき選別して、図像化した。「大航海時代のイマジネール」と題する本講義では、16世紀から17世紀にかけて盛んに作られた非西洋世界についてのイメージの数々を通して、大航海時代の人々の心象風景を探ってみたい。
目的・目標:西洋世界と非西洋世界の関わり方の歴史の基本を学べる。一次文献(ウェブのデジタルデータを含む)の収集・処理能力
参考文献:多木浩二『ヨーロッパ人の描いた世界コロンブスからクックまで』岩波書店、1991。R・ウィトカウアー『アレゴリーとシンボル図像の東西交渉史』平凡社、1991。

フランス語圏文学演習 大久保康明 前期・水3

方針・テーマ:フランス19世紀のレアリスム小説を読む。
目的・目標:フランス文学史の中で大きく扱われることはないが、パリの風俗描写やさまざまな戯画的要素を含んだ文学(小説)の系譜がある。アンリ・モニエやミュルジェールの作品に接して、19世紀の大都会の雰囲気を味わってみよう。語学力の向上を目指し、案外たくさん読みたい。

フランス語圏文学論 石川知広 前期・水4

方針・テーマ:フランス17世紀を代表する喜劇作家モリエールの作品世界を概観する。
目的・目標:演劇、とりわけ喜劇とは何か、喜劇の文化・社会的機能、モリエール作品のモラリスト的性格、当時の王権および市民社会との複雑な関係など、主要なトピックスをめぐって基礎的な知識を得るとともに、それに基づいて17世紀フランス文化と社会に対する新しい視座の創出を目指す。また、現代における喜劇の可能性について探究する糸口を掴む。

フランス語圏文学論 石川知広 後期・水4

方針・テーマ:フランス17世紀を代表する喜劇作家モリエールの作品世界を概観する(2)。
目的・目標:前期に引き続き、演劇、とりわけ喜劇とは何か、喜劇の文化・社会的機能、モリエール作品のモラリスト的性格、当時の王権および市民社会との複雑な関係など、主要なトピックスをめぐって基礎的な知識を得るとともに、それに基づいて17世紀フランス文化と社会に対する新しい視座の創出を目指す。また、現代における喜劇の可能性の探究をさらに進め、喜劇の核心にある「笑い」の文化的意義について考察したい。

フランス語圏文化論A 西山雄二 前期・水5

方針・テーマ:現象学や存在論に依拠しつつ、西洋哲学が見落としてきた他者の倫理学を根本的な仕方で探究したユダヤ人思想家エマニュエル・レヴィナス。レヴィナスは、知の体系や論理的秩序によって倫理を基礎づけ、倫理の学を洗練させるのではなく、西洋のモノローグ的な思考に抗して倫理の根源を問い続けた。難解にみえるレヴィナス思想だが、ラジオ対談『倫理と無限』は平易な語り口で彼の経歴や著作、重要概念が簡潔に解説されており、入門的テクストとして定評がある。『倫理と無限』を通読することでレヴィナス思想の今日的意義を考える。
目的・目標:エマニュエル・レヴィナスの倫理思想をテクストに即して具体的に理解する。
教科書:レヴィナス『倫理と無限』西山雄二訳、ちくま学芸文庫、2010年。

フランス語圏文化論B 西山雄二 後期・水5

方針・テーマ:ジャック・デリダは宗教論『死を与える』(1990年)において、責任、秘密、贈与、犠牲、死、赦し、父子関係といった主題を相互に連関させながら論じている。参照されるのは『旧約聖書』における謎めいた供犠のエピソードだ。神はアブラハムに対して最愛の一人息子イサクを犠牲に捧げよと命じる。モリヤ山で息子の死を神に与える瞬間、アブラハムの手は押しとどめられる。死を与える瞬間に到来したこの出来事は、アブラハムのいかなる責任を物語るのだろうか。『死を与える』を通読しながら、デリダ哲学を理解しつつ、責任や贈与といった概念群への理解を深める。
目的・目標:ジャック・デリダの脱構築思想をテクストに即して具体的に理解する。責任、秘密、贈与、犠牲、死、赦しといったキーワードに関する理解を深める。
教科書:デリダ『死を与える』ちくま学芸文庫、2004年。

フランス語圏文化史A 大久保康明 前期・木2

方針・テーマ:この授業では、フランス文学と芸術との関連をやや遊戯的に扱ってみたい。具体的にはフランスとかかわりのあるオペラ作品を鑑賞しながら、フランス文学と、西欧各国におけるその受容を考えてみたい。
目的・目標:オペラ作品に関する一般的な理解、個々のオペラの意義・評価に関する知見が得られる。原作にさかのぼって、文学作品と他の芸術との相互関連について着眼点が得られる。

フランス語圏文化史B 山口俊洋 後期・木2

方針・テーマ:ジャンヌ・ダルクと映像表現─ジャンヌ・ダルクの生涯を描いたフランス語テキストの読解と、彼女を題材にした映画、オペラなどの映像作品の鑑賞を通じて、芸術表象としてのジャンヌ・ダルクを探究する。
目的・目標:中級程度のフランス語で書かれた伝記を中心に、裁判記録、映画シナリオ、オペラ台本、映画批評など、様々なテキストにあたる予定なので、一概に語学のレベルは規定できないが、少なくとも初級文法を終えた語学力が望まれる。映像作品を鑑賞し、評価する作業に習熟されることも期したい。
教科書:DanielleNetter, Jeanne d'Arc, 駿河台出版社。

フランス語圏文学史A 新谷淳一 前期・木3

方針・テーマ:文学は、「文字」として定着されることで成立しますが、だからこそ逆に、「声」に対する強い憧れを秘めています。かつては電話と手紙が対照的なメディアでしたが、メール・掲示板・ツイッターなどは、「話す」と「書く」の中間的なあり方です。現在の状況において、「声」と「文字」のそれぞれに、どのような役割や価値を見ることができ、その価値づけに照らして、文学をどのように位置づけることができるか?
目的・目標:「声」と「文字」との関係を通して、文学の歴史と将来について考えます。
参考書:W.J.オング『声の文化と文字の文化』藤原書店。

フランス語圏文学史B 新谷淳一 後期・木3

方針・テーマ:文学という語は、もともとは幅広く「学識」を意味しました。それがいつからか、あるタイプの作品の集合を指すようになります。この不可思議な変化は、いったいなぜ起こったのでしょうか。かつては、文学に〈人文学〉が重なっていました。〈人文学〉から〈人文科学〉へ、さらには〈人間科学〉へと枠組みが移るとともに、〈人間〉の捉え方が変わります。そのとき、かつては〈人間〉について考える主たる土俵であった〈文学〉は、どのような位置に置かれるのか?
目的・目標:〈文学〉と〈科学〉と〈人間〉という三つの項の関係について歴史的に理解し、現在におけるポジションについて考えます。

仏語学演習 岡田真知夫 前期・後期・木4

方針・テーマ:中世フランス語(古仏語)と中世フランス文学の入門者向け授業。ベルールの『トリスタン物語』(12世紀)を対訳(古仏語原文/現代フランス語訳)で読む。
目的・目標:中世前期(12-13世紀頃)のフランス語=古仏語について基本的な知識を得る。古仏語で書かれたテクスト=『トリスタン物語』を読みながら、その知識を確かなものにするとともに、近現代のフランス語の発音・語形・統辞法・語彙等の成り立ちを具体例に触れながら学ぶ。テクストの細部にもこだわりながら、トリスタンとイズーの愛について考える。

仏語学概論A・B 小川定義 前期・後期・金3

方針・テーマ:現在の生成統語論、ミニマリスト・プログラムの展開を概観し、基本概念、思考法を学んで、多様な言語を言語学的に見る力を養成する。また、同時に、生物言語学的な知見にもアクセスできるようにする。
目的・目標:ミニマリスト・プログラムの基本概念、考え方、比較統語論の基礎を学び、個別的な問題について専門ジャーナル掲載論文にアクセスできる基礎力を習得する。
教科書:David Adger, Core Syntax: A Minimaliste Approach,Oxford U.P., 2003.

フランス語圏文学演習 藤原真実 前期・後期・金5

方針・テーマ:前期は17世紀から19世紀にかけて編纂されたフランス語辞典・事典類を概観し、それぞれの特徴を把握し、実際に使用する。後期は17世紀後期~18世紀前半の文学とvanité(虚栄)の問題を考える。周知のとおり、vanité(空虚)はバロック期の重要なテーマであるが、それ以降、18世紀にかけての文学において、それから派生するvanité(虚栄心)の問題が大きな関心事になり、興味深い現象や著作を生み出した。授業では、ラ・ロシュフコー、ラ・フォンテーヌ、ロベール・シャール、マリヴォー、プレヴォーなどの作品を取り上げ、この問題とその背景を考察し、それぞれの作家がこの問題といかに格闘したかを考察する。
目的・目標:最終的な目標は、何らかのテーマについて多数の作家が異なる著作の間で一つの大きな対話を展開するような文学的現象を読み取ることであるが、その過程で、17-18世紀のフランス語に親しみ、フランス語を正確に読む能力を養うことも目指したい。