クレメンス・J・ゼッツ:ポストヒューマニズムの文学 2021
作家 クレメンス・J・ゼッツを迎えて
太古より人類は新しい道具や技術を開発し獲得することで自らの能力を強化し、自身の限界を突破することで文明を発展させてきました。足を代替し強化する技術として車があり、脳の延長線上にコンピューターがあるように、科学技術は身体機能を延長し外在させることで従来の人間の在りかたを超越する可能性を追求しています。こうしたポストヒューマニズムの文脈を考慮することなしに、現代の人間像を的確に捉えることはもはや不可能と言えるでしょう。
オーストリアの作家クレメンス・J・ゼッツ(1982年生)は、デジタル化された情報社会を生きる人間の在りかた、認識の変容についてつねに深い考察を行い、新しい文学の形を次々と提案しています。2019年ベルリン文学賞、2020年クライスト賞、2021年ビューヒナー賞とドイツ語圏の主要な文学賞を総なめにしている話題の作家の個々の作品を手がかりに、ドイツ文学研究者たちがアプローチの可能性を探り、作家自身も本テーマを俎上に載せて講演を行います。
開催概要
日時 | 2021年9月25日(土) 第一部 15:30より 第二部 18:30より |
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言語 | 日本語・ドイツ語(ドイツ語の箇所は同時通訳あり) |
Zoom Webinar アクセスはこちらより(コード: !Setz1!) もしくはゲーテ・インスティトゥート東京HPより最新情報をご確認ください。 |
第一部 | 日本語発表(ドイツ語要旨配布あり) |
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15.30-15.45 | 開会の言葉 |
15.45-16.15 | 犬飼 彩乃(東京都立大学 助教) クレメンス・J・ゼッツ『インディゴ』にみる世界の限界とフィクションの可能性 |
16.15-16.45 | 眞鍋 正紀(東海大学 准教授) 『女とギターのあいだの時間』を《前後撞着》と《アレンジメント》のあいだから読む |
17.00-17:30 | 福岡 麻子(東京都立大学 准教授) 〈異〉なものを名づける ――クレメンス・J・ゼッツ『二人の兄弟 1988』における破局のディスクール |
17.30-18.00 | 粂田 文(慶応義塾大学 准教授) ”Till"と”Tyll" ——語りの技術としての ”バタフライ効果”. クレメンス・J・ゼッツとダニエル・ケールマンによる『ティル・オイレンシュピーゲル』 の焼き直し |
第二部 | ドイツ語発表(同時通訳あり) |
18.30-19.00 | レオポルト・シュレンドルフ(東京都立大学 准教授) Mimetische Gewalt in Clemens J. Setz‘ „Till Eulenspiegel“-Adaption (クレメンス・J・ゼッツ『ティル・オイレンシュピーゲル』翻案における身振りの暴力) |
19.00-19.30 | クレメンス・J・ゼッツ(作家) RESSURECTIO AD ABSURDUM-トランスヒューマニズムに関する徒然なる考察 |
19.45- | 質疑応答(同時通訳あり) |
Zoom-Webinarへのアクセス
もしくはゲーテ・インスティトゥート東京HPより最新情報をご確認ください。
作家について
クレメンス・J・ゼッツ(Clemens J. Setz, 1982-)
オーストリアのグラーツに生まれ、グラーツ大学でドイツ文学と数学の教職課程を専攻。在学中より執筆を開始し、2007年に小説『息子らと惑星たち』でデビュー。2011年に短篇集『マールシュテットの子の時間への愛』でライプツィヒ・ブックメッセ賞、ベルリン文学賞(2019)、ハインリヒ・フォン・クライスト賞(2020)、ゲオルク・ビューヒナー賞(2021)をはじめ、デビュー以来14年間で20近くの権威ある文学賞を受賞した。最新作の『ミツバチたちと不可視のもの』(2020)ではエスペラント語、ヴォラピュク語、クリンゴン語、高ヴァリリア語など人工言語の制作者や愛好者たちを丁寧に取材し、さまざまな言語への偏愛の形を描き出している。
Suhrkamp Verlag: https://www.suhrkamp.de/person/clemens-j-setz-p-8336
企画:犬飼彩乃(東京都立大学)
協賛:公益財団法人 国際文化交流事業財団(JICEF)
後援:ゲーテ・インスティトゥート東京
これまでの東京都立大学とのクレメンス・J・ゼッツの活動
2018年度 作家来日イベント「クレメンス・ゼッツとの対話-IT時代の「作者」概念をめぐって」