プロジェクト概要利用者ニーズ公共施設ストック物理的キャパシティネットワークの創成
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自己恒常型地域公共施設ネットワークの創成

 これまでの我々のチームの研究成果から,自己恒常型地域公共施設ネットワークを指向するための要点を,機能(FUNCTION),立地(LOCATION),建物(BUILDING)の観点からまとめると,次のようになります.

機能(FUNCTION)

 地域公共施設の空間機能は,固定化した類型にそった施設名と室名によって提供されていることが少なくありません.しかし実際の利用者の要求は,この固定化した類型とは一致していない例が数多く見られます.この実際の利用者の要求を整理することによって,より横断的,総合的なグルーピングに置き換えてゆくことが求められます.

立地(LOCATION) 

 制度の変更拡充とともに整備された多種類の地域公共施設は,互いに近いことが少なくありません.今後,これまでの種類にこだわることは実際的ではありません.不足する種類の施設を,余剰が生じる種類の施設の転用で設置する,あるいは近くに類似した機能を果たせる施設があるものから閉鎖するなどの長期的計画が求められます.

建物(BUILDING)

 住民のニーズの変化に対応して新しい建物の「所有」を繰り返すことは,限界に達しており,既存建物の柔軟な「利用」が必要です.このためには,室名にこだわらずに利用目的と空間特性の関係を整理して利用者の利便を図り,さらに既存空間の転用のキャパシティを把握して空間再編の意思決定を容易にすることが求められます.

 我々の研究チームは,これまでの成果を踏まえて,住民のニーズにどこまで対応する地域公共施設を整備できるのか,その整備はどのように行えば継続性を保つことができるのかについて,さらに研究を進め,地域自身による自己恒常型地域公共施設ネットワークの創成に資する所存です.今後とも,皆様のご理解や共同研究などのご協力をお願いする次第です.

本プロジェクトに関係する文部科学省研究費

平成14-15年度 萌芽研究「成熟社会に対応した自己恒常型公共建築物ネットワークの構築」
平成16-17年度 基盤研究(C)「公共建築物・住宅ストックを活用した自己恒常型地域公共施設ネットワークの構築」
平成18-19年度 基盤研究(C)「公共建築物群の時空間マネジメントによる自律恒常的な地域公共空間提供システムの構築」
平成15-19年度 首都大学東京21世紀COEプログラム「巨大都市建築ストックの賦活・更新技術育成」

既存公共建築物のコンバージョン事例:八女市多世代交流館21 設計:青木茂
既存公共建築物のコンバージョン事例:八女市多世代交流館21 設計:青木茂