2014夏 自然と社会と文化@伊豆大島
日程:2014年8月9日-2014年8月12日 3泊4日(含む船内1泊)
時間:
場所:伊豆大島自然と社会と文化@伊豆大島
【受講生】22名、スチューデントアシスタント2名
教員6名(経営:森本博行、看護:斉藤恵美子、看護:吉田和樹、建築:市古太郎、数理科学:小林正典、生命科学:黒川信)、長崎大学:岡田二郎
実施アシスタント1名(近藤日名子)
現地講師1名(中林利郎)【概要/目的】
東京都の伊豆諸島の伊豆大島に大型船(さるびあ丸)で渡り、その自然と社会と文化を学ぶ。伊豆大島は、独自の自然、社会、文化がみられます。伊豆大島の各所には、特に三原山には、昨年の台風26号の大災害の爪痕がいまも生々しく残っています。今回の講座では、今までの講座の要素に加えて、「被災地、災害現場を歩く」を新たに試行しました。2回の事前授業で、建築の市古先生指導のもと、現状、状況、注意点などについて考えました。
本講座では、現地で体験や経験を共有し、そのことについて受講生同士で議論する機会を与えることで、自らの経験にもとづいて現場から問題を発見し、さらにそれを外に発信し、具体的な問題解決につなげていく能力を涵養することを目的としました。【内容】
6/11 第一回事前授業(学内)
7/9 第二回事前授業(学内)8月9日(土曜日)
21時集合 乗船前ガイダンス、ミーティング
台風11号の影響で9日の大型船が出航するかどうか朝9:30にわかるはずであったが、夕方に出港することが決まった。出港が決まり、予定通りに講座を行うことになった。集合も予定通り21時で、全員集合し、ミーティング、アイスブレーキングなど順調に行った。
23:00 出航8月10日(日曜日)
5:00 伊豆大島岡田港入港
魚釣り体験
魚釣り体験の予定でしたが、前日の台風の影響のため中止。大島牛乳工場、牧場
飼育員の高橋さんが案内して下さいました。実際に牛小屋に連れて行っていただき、牛さんを前に説明して下さいます。「牛さんは、生まれてから死ぬまで人間の為にだけ生きている。そのことを考えながら、牛乳やお肉を食べて下さい。」とても印象に残る言葉です。また、牛さんは、塩を食べないとお乳がでない。しかし、食卓精製塩を食べさせてもお乳はでません。ミネラルたっぷりの海水から作った塩を食べなければいけません。
生まれたばかりの子牛にも会いました。その子牛に名前をつけていいというので、みんなで考えて「みなみちゃん」と名づけました。郷土資料館
大島の噴火の歴史や、貴重な資料が置いてあります。島言葉もいろいろ使われています。資料館の方の案内で館内を見学しました。製塩所
海と生命に欠かせない塩。伊豆大島では、塩田禁止法以来塩を作ることができませんでした。当時酪農が盛んだった伊豆大島で牛に日本専売公社が作った食卓精製塩を食べさせたところ、みるみる乳がでなくなってしまった。あわてて海外から岩塩などを取り寄せたりした。伊豆大島ではいち早く研究所を立ち上げ自然塩を作るようになった。その様な歴史とともに、塩の作り方、歴史、人間にとって、生物に取っての必要性を学びます。地層切断面
大島の歴史を目で見ることができます。そこには、100層以上の地層が見られ、1層が100年~150年にあたる噴火の歴史です。15000年近い歴史を見ることができます。層によっての違いなどを地元の講師、中林先生にご案内していただきます。障がい者支援施設「恵の園」
主に知的障がい者の方が入所する施設で、そこで生活しています。恵の園は、歩ける距離で大島に2つ施設があります。2グループに分かれて、それぞれの施設を案内していただきました。最後に利用者の方と実際に話をさせていただく機会をいただきました。第二大島恵の園では塩づくりも行っていました。
昼食後、看護の吉田先生指導のもと、各グループどのような場所で、どんな特徴があり、どうだったかという報告と意見交換会を行いました。海と生命
実際に大島の海にいる動物を捕まえて、授業を行いました。バフンウニを人工的に産卵させ、学生の目の前で受精実験を行いました。バフンウニ、なまこ、タツナミガイ、ムカデミノウミウシ、イトマキヒトデ、海藻、イソギンチャクの仲間などいろいろな動物を実際に見ました。夕方〜夜
講義、討論8月11日(月曜日)
島しょ農林水産総合センタ−大島事業所
事業所の研究員の方に、大島の漁業の現状、どんな魚がどれくらい捕れるかなど、さまざまな海に関する問題を話していただきました。くさや製造所
生物にとって大事な塩。その塩をつかったくさや。くさやの誕生の歴史、なぜくさやか、などを製造所のご主人から伺います。秘伝のくさや液も見せていただき、味わわせていただきました。
旧港屋旅館
伊豆の踊子の出身地である大島。踊り子が踊っていたという舞台の「みなとや」旅館などを実際に訪れました。当時銀座の一等地よりも地価が高かったという街並みも歩きました。
ジオパーク三原山
ジオパークに認定されている伊豆大島。三原山のジオパークについて、地元講師でもあり、ジオパーク推進委員の中林先生からジオパーク展でさまざまな角度から解説していただきました。台風26号災害現場
昨年の台風26号の被害が大きかった御神火スカイライン沿いに歩き、三原山の説明を地元講師の中林先生が行い、建築の市古先生指導の下、体験しました。
また、三原山を下山すると、台風26号のときの九死に一生を得た話を椿園にとまっていた仕事で泊まっていた方の実際の話がよく出ていた。テレビでもたびたび取り上げられた椿園。椿園は、先祖代々から伝わる椿の林があった。しかし、台風、土砂災害により流されてしまった。そして、ホテル椿園にも土砂は容赦なく襲いかかり、一階を飲み込んだ。その時の当日の話を椿園女将清水さんが来て話してくださいました。温泉
浜の湯という水着着用の混浴露天風呂が元町にある。1986年の全島避難の大噴火。その大噴火の恩恵でできた温泉です。温泉に入りながら、地元の方々と交流し、三原山に残った台風の爪痕を見ます。反対には、海が広がり、伊豆半島を眺められます。夜
講義、討論
市古先生指導の下、デスカッションを行った。中林先生にも来ていただきました。町の方が入ることにより、机上の空論の世界から、現実の実現可能か学生にとって考えさせる機会となり、とても有意義な議論が行われました。8月12日(火曜日)
討論続き
前日だけでは終わらなかった市古先生の課題のまとめをしました。町長訪問
町長室で川島町長にお時間をいただき、話をさせていただく機会をいただきました。まず、川島町長から、島の概要などをお話いただきました。その後、前日の市古先生の課題であるまとめの被災地、御神火スカイラインを通った際に各々がどう思ったかを写真で地図に示し、コメントで加えたまとめを発表しました。また、今後の課題についても発表させていただきました。
元町探訪
為朝神社、元町溶岩流末端、流人墓地、高田製油所、ぶらっとハウスなどを見学した。
16:15出航(たちばな丸寄港のため、いつもより遅い出港)船上討論
20:40 竹芝到着 解散第一回事前授業の為の課題
課題1
第一回の事前授業までに、担当した課題について、よく勉強し、まとめとおいてください。1分以内で発表してもらいます。一人2つ当たっています。
1.本州や、東京の他の島との位置関係
2 .島外との交通
3.島内の交通
4.大島の気候、気象
5.大島の学校
6.大島町役場、大島支庁
7.はじめから東京都大島町
8.大島と戦争
9.大島の独立憲法
10.大島の医療事情、医療施設
11.大島の商業施設
12.大島と文学
13.大島のエネルギー事情
14.大島の水事情
15.大島の経済
16.大島の農業
17.大島の漁業
18.大島の観光業
19.昨秋の大災害
20.旧六ケ村
21.大島と海
22.大島と火山災害
教養科目「自然と社会と文化(Nature,Society and Culture)」
野外集中講義@伊豆大島 事前課題レポート(その1)
2014.6.11.(事前授業)
全体でA4レポート用紙2-3枚。提出用とそのコピーを作ること。
提出日:7月9日の事前授業の時。事前授業の時と現地ではこのレポートを使って、発表をしてもらいます。レポートのコピーが手元に必要です。
7/9にはSA課題も同時に集めます。費用集金もします(金額は後日メールで)。
1.伊豆大島の自然について「気候・気象」「地理、地形」「海洋・海流」に関して調べてください。
2.次のすべての項目は伊豆大島で皆さんが直接関わるものです。すべてについて予習をしてください。下の語群AおよびBの中からひとつずつえらび、伊豆大島との関わりを中心にまとめて下さい。
A
くさや、大島牛乳、べっこう寿司、テングサ、塩、あしたば、椿、大島桜、植物遷移、島とうがらし、椿油、裏砂漠、ジオパーク、白ママ断層、源為朝、間瀬貞八、日蓮宗不受不施派、おたあジュリア、全島避難、導流堤、割れ目噴火、御神火
B
あんこさん、御神火太鼓、野口雨情と波浮港、秋広平六と波浮港、川端康成、地層大切断面、島しょ農林水産総合センタ−、郷土資料館、大島公園、動物園、椿資料館、元町溶岩流末端、旧港屋旅館、陣の丸邸、ぶらっとはうす、流人墓地、お鉢めぐり、都立大島高校と都立大島海洋国際高校、岡田港と元町港、かめりあ丸とたちばな丸とさるびあ丸、夢と虹と愛と友、新中央航空と東邦航空野外集中講義@伊豆大島 事前課題レポート(その2)
伊豆大島での「自然と社会と文化」では障がい者支援施設ないし特別養護老人ホームを訪ねます。障がいや病気のある方々、(高齢者の方々との)コミュニケーションで大切なことについて、800字程度でまとめなさい。
提出方法:ワードの添付ファイル(氏名をファイル名)として下記にメールで提出。
メールの題名は「氏名:大島事前レポート」。本文にも氏名。
提出日:7月1日 昼12時までに
大島に行くまでの課題
1,伊豆の踊子を読む
2,ストリートビューは、まだ災害以前の御神火スカイラインです。災害前の御神火スカイラインをストリートビューで、三原山の上から下る。実際に災害現場で、当日その道を下ります。「自然と社会と文化」事後レポート
課題1. 伊豆大島における変わった形のものについて、なぜその形になったかなどについて、論理的に述べよ。(出題=小林正典:数理科学)
課題2. 障害者とのコミュニケーションについて、大島恵の園に行って出来たこと、出来なかったこと、或いは難しかったことについて述べよ。(出題=斉藤恵美子:看護)
課題3. 「塩」「水」「生命」「椿」「エネルギー」の5つのキーワードについて、或いはそれら相互の関係について、大島で学んだことや考えたことを述べよ。(出題=黒川信:生命科学)
課題4. 全体課題
1.「自然と社会と文化」の内容や目的などの特徴について、他の科目等とも比較しな がらまとめなさい。
2.本科目を履修したことで、自分にとって最も良かったと考えられること、将来に役立つと考えられることなどを具体的に述べなさい。もし、受講をきっかけに自分が変わったと思うところがあれば書いて下さい。
3.この科目をより良くするために、改善点や新たに行いたいことなどを提案して下さい。
4.最後に率直に感想を述べて下さい。