2010年8月「自然と社会と文化」小笠原
日程:2010年8月19日-8月24日 5泊6日(含む船内2泊)
時間:
場所:小笠原
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受講生:12名
教員2名(生命科学:可知直毅、日本語教育学:ダニエル・ロング)、RA1名(理工学研究科:近藤日名子)、TA2名(牧野標本館:常木静河、人間科学専攻:今井圭介)
現地講師6名(山口真名美、佐々木哲郎、小笠原愛作、レンス・ワシントン、大平京子、伊藤聡)【概要/目的】
東京都の小笠原諸島の父島に大型船(小笠原丸)で渡り、その自然と社会と文化を学ぶ。小笠原は、島の誕生以来、大陸と繋がったことのない海洋島です。その隔離性のため、独自の自然、社会、文化がみられます。今回の講座では、小笠原の動植物の外来種、固有種、在来種の問題を、生態学を専門とする可知が担当し、その文化・歴史と言語学を専門とするロングが担当します。また、欧米系の島民の方から、戦後のアメリカ軍統治時代の小笠原の生活について直接お話をうかがい、今も残る戦跡の見学などを実施しました。また、現地NPO法人小笠原自然文化研究所の協力を得て、海に入りシュノーケルを体験し、亜熱帯の海の生物を実際に観察しました。
本講座では、現地で体験や経験を共有し、そのことについて受講生同士で議論する機会を与えることで、自らの経験にもとづいて現場から問題を発見し、さらにそれを外に発信し、具体的な問題解決につなげていく能力を涵養することを目的としました。小笠原研究施設は、無人施設のため自炊しなければなりませんが、それを通して、協力・協働の意識を高めることができました。【内容】
8/19
船内オリエンテーション(相互理解のためのゲームを含む)8/20
小笠原丸操舵室・機械室見学
小笠原村長表敬訪問・交流
受講者12人全員が村長に「なぜ小笠原には飛行機便がないのですか、今後も予定はないのですか。村役場の方々が来ているアロハは制服ですか。」など忌憚ない質問を投げかけ答えていただきました。
歴史のウォーキング講座
米軍の生活と町並みを教会、ラッドフォード跡、ブッシュの木、ペリー記念碑、北原白秋の歌碑、戦跡(トーチカ、残骸など)、欧米系墓地、など大村中心に見学しました。
小笠原の食文化
輸送手段が船便しかない小笠原では小笠原丸が入港の日にスーパーに品物が並びます。船で25時間かけて運ばれるためパンや牛乳の賞味期限の期間はほとんどありません。実際にスーパーに訪れ、自身の目でどんな食材があるかなどを確かめました。
自然保全:外来種対策 生態保全と世界自然遺産登録
可知先生の講義。概要を伺ったあと、グループディスカッションで身近な問題として考えました。
8/21
山の自然体験教室(小港から中山峠、ブタ海岸)
普段食べている外来種であるアスパラが自生していました。外来種のヤギが分布を拡大しないように柵があり、山に入るにはその柵を開けていきます。オガサワラトカゲなど小笠原の固有種も発見しました。中山峠からの景色を堪能し、そのままブタ海岸まで歩きました。途中、外来種のヤギの群れにも遭遇しました。
グループディスカッション(外来種、在来種、固有種を考える)
中山峠、ブタ海岸までに観察した動植物から、外来種、在来種、固有種を選び、小笠原の自然保全についてグループディスカッションし、その結果をまとめました。また、海岸で枕状溶岩などを観察しました。
戦跡・歴史の野外講座
墓地、長崎展望台、洲崎の飛行場跡、境浦の墜落した飛行機の残骸、境浦の沈船などを、欧米系島民のレンス・ワシントンさんの案内で見学しました。
小笠原の芸能体験(南洋踊り)
小笠原観光協会主催の小笠原サマーフェスティバル 南洋踊り&KAKAに参加しました。最後に、貸していただいた衣装を身に着けて舞台に上り踊りました。
小笠原ことばは、なぜ面白いのか重要か
ロング先生の講義。講義後、小笠原の歴史と文化についてグループディスカッションを行いました。
8/22
島の礼拝
島の礼拝に参加しました(自由参加)。その後全員で、欧米系島民の方からお話を伺いました。
対談:戦前の生活・強制疎開・米軍統治下の生活と欧米系島民にとって「返還」が意味したもの
大平京子さんの昔のスライドを見ながら、当時の状況を詳しく教えていただきました。
海の生物観察&シュノーケル体験
佐々木哲郎さんとNPO法人小笠原自然文化研究所の研究員の方々に協力していただき、小笠原の海の自然の現状についての講義の後、希望者はシュノーケル体験しました。サンゴの死骸を見つけたり、ナマコや貝殻、シラヒゲウニなどの海の生物を手にとって観察しました。
小笠原の芸能(小笠原フラの演奏、講演、講習、レイ作り体験)
山口真名美さんによる小笠原フラの演奏、講演、指導・レイ作りを体験しました。その後、自作したレイを身に着け、フラの練習をしました。男子と女子では振り付けが異なりますが、最後はきれいに決まりました。
小笠原で研究していたOBと小笠原について考える
現在コスモ石油中央研究所所属で、大学院時代に小笠原の藻類を研究していた伊藤聡さんから、伊藤さんがなぜ小笠原を研究するようになったのか、小笠原との出会い、研究のきっかけ、研究内容、小笠原の魅力について講義していただきました。講義後はグループディスカッションをしました。
8/23
自由課題
これまでの体験に基づき、それぞれが関心をもつ場所を自分で選んで行きました。海から離れた山の上のウェザーステーションで波の音を聞き感動した学生もいました。そこで島の子どもと交流し、帰り際、「内地で会ったら声かけるね」という子どもの言葉から島での緊密な人付き合いを実感した学生もいました。島の人々から声をかけられ、島レモンをいただいた学生もいました。
8/24
船内ディスカッション
小笠原の外来種問題、マイ小笠原(私の撮った小笠原 写真の発表会)の2点について一人ひとり発表しました。同じ船に乗り合わせた筑波大学大学院世界遺産専攻のゼミ生や、立命館大学文学部のフォックス先生にも参加していただきました。発表後は、大学間の壁を越え、ディスカッションしました。課題
自然系
1. 小笠原で問題となっている外来種について調べる(事前課題)
2. 中山峠で出会った外来種、固有種、在来種について述べる
言語系
1. サウンドスケープ。印象に残った音と、その説明。
2. 島言葉。小笠原の島の方言を見つける。またその説明。
全体レポート。 実際のレポートはこちら1. この授業の特徴を他の都市教養プログラムとも比較しながらまとめなさい。
2. 本科目を履修したことで受講の目的に照らして最も良かったこと、考えられることを具体的に述べよ。
3. この科目をより良くするために改善点やしたいことや新たな事などを提案してください。現地で直接提案しなかった場合はその理由を述べてください。
4. 最後に率直に感想を述べてください。