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知覚・認知の視点から運動をひも解く 樋口貴広(知覚運動制御研究室)

セラピスト向け情報発信ページ

#590 新刊「スポーツパフォーマンスと視覚」

日本スポーツ視覚研究会が編集した初めての本が出版されました。私も研究会の世話人の一人として,執筆に携わりました。

日本スポーツ視覚研究会(編) スポーツパフォーマンスと視覚:競技力と眼の関係を理解する,ナップ,2019

本は8章構成となっており,多岐にわたる内容が掲載されています。スポーツ選手の眼の動きや,視覚情報処理の卓越性に関する章もあれば,視覚や視覚異常,眼と栄養に関する基礎的知識に関する章もあります。本の目次についてはこちらをご覧ください

私の担当章では,「視覚による運動制御」というタイトルのもと,移動を伴うスポーツにおける視覚運動制御の特性について解説しました。スポーツの場面では,「動いているものを正確に見る」ということに加えて,「動きながら見る」ということが求められます。私の章では,この動きながら見ることに熟練したスポーツ選手の視覚的特性について,基礎研究を紹介しました。

研究会が目指しているのは,「スポーツを入り口として,視機能が運動や行動に果たす役割を学術的に理解する」ということです。すなわち,スポーツパフォーマンスの向上に寄与したいというスタンスに立ってはいるものの,それが必ずしも視機能それ自体の向上でなくても構わない,というスタンスです。重要なことは,運動を支える視機能の役割を正確に理解することです。本を通して,こうした研究会のスタンスがクリアーに伝わると嬉しいです。

研究会は例年8月末に大会を行っています。今年度の研究会大会はこちらをご参照ください



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