研究の内容

1.ゲリラ豪雨の気候解析グループ

東南アジアにおける大都市とその周辺地域を中心に,渇水や雨季の開始・終了の長期変化,年々変動とそのメカニズムを解明し, 特に大都市における水質悪化問題に関係する渇水や雨季開始の遅れ,豪雨発生の事前予測手法の開発を行うとの最終目標を念頭に, 各国の大都市および流入する河川流域の降水量,河川流量などのデータを入手し,留学生出身国のフィリピンを対象とした長期変動に関する統計解析などの研究を行う.

2.ゲリラ豪雨のメソ気候解析グループ

時空間分解能の高い三次元レーダーデータを用いた対流雲個々の移動の追跡や,鉛直積算雨水量,エコー頂高度など対流雲の特性値の算出と, ドップラー速度やMSM-GPV等による環境場の把握に着手し,夏季の東京と周辺域に現れた対流雲とその環境場のデータベース作成に向けた解析を行う. また,稠密地上気象観測データを利用して,強雨発現の日変化や地域性と局地風系場などとの関係を解明する. 以上は都心に現れる対流雲の実態解明と東京オリンピック等における豪雨予測手法構築の基礎となる.

3.都市河川の洪水氾濫グループ

東南アジア都市流域を対象に,降雨,気温,河川水位,洪水ピーク流量,地下水位などの水文気象データおよび地盤高,標高などの地形データの収集を行う. 収集した水災害データより,都市洪水・浸水氾濫リスク解析に向けた基礎的統計解析を行う.これらは都市河川流域の洪水氾濫解析モデル構築の基礎となる. 次に,東南アジア都市流域を対象に,大気気象データ(気圧,気温,比湿,風速,風向)およびレーダデータ(Cバンド,Xバンド)の収集を行い,収集した大気気象データより,ゲリラ豪雨の時空間解析に向けた基礎的統計解析を行う. これはレーダを用いたゲリラ豪雨の短時間予測評価の基礎となる.

4.都市河川の水質グループ

都市河川の水質問題に関して,東京都の代表的な都市中小河川である石神井川を対象にして研究を行う. 石神井川は河口が隅田川につながっており,河口域でスカムおよび悪臭が発生することが問題になっており,東京都建設局と連携して政策提案を目指した研究を進める. 平成28年度は,都建設局や北区の担当者との情報交換,現場見学と研究計画の立案,既往の研究論文のレビュー,過去の調査データの入手と入力を行い, スカムおよび悪臭の発生状況と河川の気象・雨量・流量・水質データとの関連分析を行う.