在日中国人留学生に関する調査研究

(張晶晶:研究班C「移動と獲得」)

 

本研究では、中国人留学生における組織と留学生活のつながりを中心に、首都圏の大学(主に首都大学東京)等に在籍する中国留学生の勉学と生活に関して調査行っている。日本国内の留学生の中では中国人留学生が最も人数が多く、組織も多様である。

中国人留学生における主な組織

■中国人留学生学友会
全日本中国人留学生学友会をはじめ、中国人留学生学友会が日本の各大学に広く分布している。

■同郷会
同じ出身地からきた在日中国人を中心に形成された組織。

■原中国国内各大学校友会
北京大学校友会をはじめ、同じ大学(主に中国の名門大学を中心として)出身の在日中国人を中心に形成された組織。 

今回の調査では首都大学東京等の中国人留学生学友会をはじめ、なるべく首都圏各大学の中国人留学生にかかわる各組織の活動に参加しながら、各組織の会長、幹事及び普通の中国人留学生に聞き取り調査を行った。また、各組織の公式ホームページ、或いはQQ(中国で最も人気のSNS)グループなどを通し、各組織の役割などの情報が把握できた。

調査結果 

 これらの多様な組織の最も重要な役割は、多様な活動を通して、在日中国人、特に中国人留学生たちの勉学と生活を支えることである。簡単にまとめると、各大学における組織の主な役割は、以下の通りである。

多様な交流活動を主催する。たとえば、留学生向けの新入生歓迎会、送別会、文化と体育大会、学術交流会、中秋・国慶・元旦・春節などの年中行事の親睦会、日本人同士との交流活動、他の学友会との交流活動、学園祭(大学祭)などの活動を主催することである。

様々な情報を提供する。たとえば、留学生向けのバイト、就職、住所を探すこと、生活用品を求めること、医療・健康保険・法律的紹介することなどにかかわる有用な情報である。
 

各大学学友会の成員は主に在日中国人留学生である。それに対して、同郷会と原中国国内各大学校友会の成員は留学生に限らず、日本で働いている社会人も多い。さらに、就職にかかわる情報を提供することができるようになる。それぞれの組織は、自らのメーリングリスト・公式ホームページ・QQグループをつくり、それを通し、多様な情報を成員たち(主に在日中国人留学生)に提供する。インターネットを通し、通常忙しく、活動に参加できない在日中国人留学生さえ、手軽に有用な情報を知ることができる。
 こうした組織からきた情報と活動を利用し、中国人留学生たちは、自らの勉学や生活などにかかわることを豊かにする。
在日中国人留学生における多様な組織は、留学生たちの「適応と獲得」に役に立っている。

 

(写真上下)首都大学東京中国人留学生学友会が主催する運動会の様子(2011年8月)