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知覚・認知の視点から運動をひも解く 樋口貴広(知覚運動制御研究室)

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#718 地域在住シニア世代の方々を対象とした講義

11月21日に,南大沢市民センターにて,地域在住シニア世代の方々を対象とした講義を行いました。この講義は,八王子市高齢者あんしん相談センター南大沢さん主催で行っている事業の一環として企画されました。私の研究室では高齢者を対象とした研究を主に行っており,地域在住の方々が多く参加されています。こうしたイベントを通して地域の方々に研究室の存在を知ってもらえることは,研究活動としても重要です。当日は,「転倒予防に必要なこと:認知機能の研究から」というタイトルのもと,60分にわたり話題提供をしました。

当日の趣旨は,「脚の筋力があっても,転倒しないとは言えない。なぜなら,歩行の調整力が衰えると,状況の変化に対応できないから」という内容でした。幸いこのテーマは,参加者の方のニーズに合っていると感じました。「スポーツ施設に頑張って通っているのに,転倒してしまってショックだった」といった体験をお持ちの方もいらっしゃいます。そうした方々に,筋力を鍛えるだけではなく,調整力をいかに維持していくかも重要であることを説明しました。

デモンストレーションとして,立位バランスを保つ際に眼をつぶったり,頭部を上下させたりするだけで途端に姿勢動揺が大きくなることや,指先で壁やイスを軽く触るだけで揺れが小さくなることを,数名の方にご体験いただきました。こうした現象がもつ意味の解説しながら,日常生活の中にどのように生かすべきかについて,私なりの考えを述べました。

今後も研究・教育の知識を地域の方々にも還元できるよう,こうした活動も継続していきたいと思います。



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