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知覚・認知の視点から運動をひも解く 樋口貴広(知覚運動制御研究室)

セラピスト向け情報発信ページ

#712 ランチョンセミナー@第20回日本神経理学療法学会

10月15-16日,大阪で開催された第20回日本神経理学療法学会にて,初日のランチョンセミナーを担当しました。

セミナーのテーマは,「歩行の複雑性の再獲得:視覚運動制御の観点から」というテーマでした。このテーマは,今年から3年間科学研究費補助金をもらって行う研究室のメインテーマでもあります。

この研究テーマは,高齢者の転倒予防に向けものです。年を重ねていくと,筋骨格系の自由度が減少していきます。その結果,状況に即した柔軟な調整ができなくなり,俯瞰で見た時の動きの複雑な変化(高周波成分の変化)が見られなくなります。このようにして,動きはどんどん定型化・ステレオタイプ化していきます。

「動きの過度な固定化・ステレオタイプ化」は,脳卒中患者の臨床像としてもしばしば指摘されることです。よって,動きが固定化される原因はそのものは異なるものの,①動きの定型化・固定化がどのような行動現象として生じるかと,②動きの複雑性をどう評価するか,③動きの複雑性をどうやって高めるか,といった話題は,神経理学療法領域の先生にも興味を持っていただけるはずだと思い,今回はこのテーマで発表をしました。

セミナー協賛の株式会社センスタイルさんとは長い付き合いがあり,またこうして大舞台で仕事ができることにこの上ない喜びを感じた仕事でした。

また研究室の大学院生が4-5名聴講してくれたことも,私にとっては重要なことでした。院生たちには,「10年後自分が同じ舞台に立つとき,自分ならどのように振舞うのかをイメージして聞いてほしい」と伝言を残し,聴講してもらいました。身近にいる者の本番での振る舞いから何かを感じ,自分自身のプレゼンテーションを考えるきっかけにしてもらうことが,よい教育の機会になると再認識しました。

この学会は,森岡周先生(畿央大学)が大会長を務めたこともあり,集客やイベントの内容の観点からみて,歴史的なイベントになりました。3-4日間かけて行うようなプログラムを2日間にセットし,一つの空間に非常に多くの関係者が集まりました。多くの人にとって学会大会の意味を考える機会となったのではないかと思います。

この学会参加を契機に,私も重い腰を上げてTwitterを始めました。この学会の主たる情報発信源がtwitterであったこと,また日々更新される情報についていく必要があったためです。どの程度学術情報の発信に利用するか手探りですが,よろしければご覧ください。@HiguchiTakahi6


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