本文へスキップ

知覚・認知の視点から運動をひも解く 樋口貴広(知覚運動制御研究室)

セラピスト向け情報発信ページ

#683 女川亮司氏(早稲田大学)によるレクチャー

3月3日に,研究室のイベントとして,女川亮司氏(早稲田大学理工学術院総合研究所客員次席研究員)によるレクチャーのイベントを行いました。助教の福原和信先生がオーガナイズしてくれました。今回はその概要について説明します。

レクチャーのタイトルは,「複数の潜在的ターゲットに対する運動制御ポリシーの理解:Go-before-you-know課題を用いた検討」でした。近年,認知科学研究・運動制御研究において ,運動計画に基づいた柔軟な制御に関わる意思決定プロセスを評価する「Go before you know 課題」の活用に注目が集まっています。女川氏は,このパラダイムを用いて,時間制約がどのような影響を与えるかについて,2021年に3つの国際誌で成果を報告されています。本レクチャーでは,その成果の概要をご説明くださいました。このほか,これに続く最新の成果についても豊富なデータをご紹介くださいました。

発表後のディスカッションでは,時間制約の影響についての詳細な検討や,課題中の視線位置の重要性,スポーツ選手や高齢者など異なる対象者で検討した場合に予想されること,などの議論がなされました。

イベントの後半は,樋口研の博士後期課程3年(日本学術振興会特別研究員DC2),渡邉諒君に研究成果を発表してもらいました。渡邉君は,ステッピングの文脈でGo before you know 課題」を行うための課題開発を行っています。「全身移動動作における複数選択場面の行動計画」というタイトルで発表しました。立位で行うステッピングでは,ターゲットの出現確率といったリーチングと共通の情報だけでなく,バランス保持という安全性に関するコストを優先的に考える可能性があります。渡邉君は,この可能性が正しいかを考えるための実験手法を考案しました。 渡邉君の発表に対して,女川氏,並びに他の外部ゲストの方から様々なコメントを頂戴しました。

研究内容だけでなく,プレゼンテーションのスタイルなど様々な点において,院生たちの刺激になる時間でした。

目次一覧はこちら