授業改善「裏側潜入レポート」

星教授

「刑事法入門」(2015年度前期 基盤科目群)
 授業担当者:星 周一郎 教授 (都市教養学部 法学系

専門教育への導入の役割を持つ基盤科目群。星先生が指導するのは、知っているようで知らない刑事法の分野です。法律への理解を深めると同時に大学での学び方も身につける。そんな授業内容について聞いてみました。
(「Study+2015春号(第3号)」より)

 

Q.「刑事法入門」はどのような授業で、どのようなことを目標にしていますか?

犯罪に関する報道を目にした際、「こうした行いは良くない」といった意見を持つことは誰にでもできます。けれども法律を学ぶのであれば、その罪を犯した人の何が悪くて、それに対してどのような制裁を科せばいいのかといったことまで考えられるようにならなければなりません。そうした自分なりの意見の理由を考えるのと同時に、それを文章化するという訓練を重ねることで、他者に自らの見解をきちんと伝える基礎技法を身につけてもらいたいと思っています。授業では教科書は指定せず、自分で作った詳細なレジュメを学生に配布するのが私のスタイルです。レジュメではなるべく身近な話題や最近のニュースを採り上げるようにして、学生が関心を持ち、前向きに取り組めるよう心がけています。学生が法学を学ぶ上での導入科目なので、取り組みやすさには常に配慮しています。

Q.授業ではどのようなことに取り組み、どのような改善を行っていますか?

毎回、その日の講義で指導する内容をレジュメに詳しくまとめて配布することには、賛否両論あるかもしれません。ただ、私が作成するレジュメは講義の詳細を記しているのではなく、要点を簡潔に書き記しただけのものです。そのレジュメだけを集めても、講義の内容は見えてきません。大切なのは、そのレジュメに自分が講義で感じたことを書き込みながら、学んでいく姿勢です。常に内容をアップデートさせるので手間もかかりますが、それだけの意味があると思っています。またレジュメの最後には、「論点」と題してその日の講義の復習となるような内容の小問題を追加。学生の自主的な学びのきっかけを作っています。さらに、文章作成の訓練のために、学生のレポートを添削し、コメントを付けて返却することも行っています。

Q.この授業で今後取り入れたいこと、また授業を履修する学生に伝えたいメッセージはありますか?

近年は電子黒板を使用したり動画を活用するなど、さまざまな機器を取り入れた授業が多く、学生の関心の喚起に役立っていると感じます。ただ、配布した紙のレジュメをもとに、学生が頭の中で思考を巡らすといった、私のスタイルのような授業も意味があると考えています。基盤科目という性格上、履修する学生の多くが1年生なのですが、授業を通して考えたことを文章にまとめるといったことのトレーニングにもなるよう心がけています。年次が上がればさらに学生同士での議論も活発になります。「大学生活で初めて勉強した気がしました」というゼミ生もいるほどです。伝統的な講義から得られることも、学生には感じてもらいたいですね。

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