授業改善「裏側潜入レポート」

西山雄二准教授

「フランス語圏の文化」(2015年度前期 教養科目群)
 授業担当者:西山 雄二 准教授 (都市教養学部 人文・社会系 国際文化コース)

時代や社会に向き合う多彩なテーマで、幅広い授業、総合的思考力、問題解決能力を育てるのが教養科目群です。「フランス語圏の文化」を担当している西山先生に、その授業内容と目標について聞きました。
(「Study+2015春号(第2号)」より)

Q.「フランス語圏の文化」はどのような授業で、どのようなことを目標にしていますか?

この授業は主に全学部の1年生を対象に開かれていますが、人文科学系の学生、特にフランス語を専攻している学生が履修することが比較的多いですね。フランス語を学んでいないと理解できないという科目ではないですし、ドイツ語や中国語といった他の言語を専攻している学生も履修しています。授業は毎回異なったトピックを題材にして進めていきます。フランスの文化といえば料理や芸術を思い浮かべる人は多いでしょうが、それだけでなく教育制度や家族制度、移民問題、電力の7割を占める原発問題、多くの若者が参加するデモについて、日本でも話題になった風刺画についてなど、幅広い分野をテーマに選んでいる点が特徴です。また、単にフランス文化を紹介するだけでなく、すべてのトピックにおいて日本との比較を行うようにしています。日本に似ている部分もあれば大きく異なる部分もあるフランスは、文化の在り方や、私たちが常識と思っていることがグローバルな視点で見れば常識とはいえないということを知るのに、最適な比較対象だと思います。

Q.授業ではどのようなことに取り組み、どのような改善を行っていますか?

毎回の授業ではトピックについて説明し、学生には質問をしてもらったり授業の終わりに必ずコメントを書いてもらうようにしています。かなり長いコメントを課しているので、単に授業内容についてまとめるのではなく、自分なりの考えを深めないと埋めることはできません。また、学生討論の回も2コマ設置し、そのうち1回はフランスからの留学生を招いて対話をしてもらいます。彼らは政治的な意見も明確だし、デモへの参加経験もあります。同世代でありながらその違いに驚かされるはずです。

Q.この授業で今後取り入れたいこと、また授業を履修する学生に伝えたいメッセージはありますか?

この授業で学ぶことでフランスの文化についての理解を深めるだけでなく、それを通して日本の文化の在り方を、あらゆる角度から考え直す力を身につけてほしいと思います。日本は全体としては素晴らしい国ですが、ある部分においてはまだまだ遅れているのが現状です。女性の社会進出が欧米よりも遅れていることはニュースで聞いたことがあるかもしれませんが、たとえば表現の自由についても、実は先進国レベルには達していないというデータもあります。皆さんが当たり前と思っていることの中にも、世界から見れば奇妙に映ることは少なくないかもしれません。世界との距離が近くなった今、そうした違いを知り、自分なりの意見を持つことが求められているはずです。

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