授業改善「裏側潜入レポート」

kawahara

「基礎ゼミナール」(2014年度前期 基礎ゼミナール)
 授業担当者:吉田 博久 教授 (都市環境学部分子応用化学コース)

問題点の理解と解決の技法を学ぶのが「基礎ゼミナール」です。ここでは、所属の異なる学生がそれぞれの立場で原発問題を考える吉田先生の授業を通して、学びを深める仕掛けを探ります。
(「Study+2015春号(第2号)」より)

Q.「基礎ゼミナール」はどのような授業で、どのようなことを目標にしていますか?

基礎ゼミナールは1年の全学生必修の授業です。文系・理系に関わらず希望のゼミナールを選び、学んでいきます。ゼミナール形式の授業というのは大学での学びの特徴的なもの。年次が上がると学生各自が自分の専門分野について、ゼミナールを通して自主的に深く学んでいくことになりますが、1年次の基礎ゼミナールにはその学び方を学ぶという側面もあります。私の授業では2,3名ずつグループを作ってもらい、与えられたテーマについて情報を収集。その調査結果をまとめた上で発表してもらいます。グループのメンバーはなるべく文系と理系の学生両方が加わるように配慮し、活発な意見交換ができるよう心がけています。この授業を通して幅広い視点を身につけてもらうことと同時に、ネット等にあふれている情報の中からどのように信頼できるものを見つけるかといったころも学んでもらいたいですね。

Q.授業ではどのようなことに取り組み、どのような改善を行っていますか?

私の基礎ゼミナールのテーマは「原子力発電をどうするか:エネルギーと物質の観点から考える」です。東日本大震災以降、原発についてはいろいろな議論がされてきました。私の基礎ゼミナールに参加する学生には、「原発問題があったからこそ、より安全で有効な技術を研究・開発しなければならない」と考える理系の学生や、「原子力発電に頼らない社会を一日も早く作ることが重要」と考える文系の学生もいます。何が正しいというよりも、多くの考えに触れることが重要で、その上で自分なりの考えを持ってもらいたいと思っています。また、エネルギー問題は専門用語も多く、どういうキーワードから調べればいいのか分からないという意見もあったので、授業の冒頭部分でその糸口を理解してもらえるよう、話す内容にも配慮しました。

Q.この授業で今後取り入れたいこと、また授業を履修する学生に伝えたいメッセージはありますか?

環境問題と一口に言っても、地球レベルの問題から自宅の周りのことまで、学生によってイメージもまちまちです。ただ、どのレベルの環境問題であっても考えなければならないのは物質修士であり、二酸化炭素の排出量と廃棄物の量削減です。それらについて広い視点で考えられるようになってもらいたいということと、10年後にどのような環境の社会に住んでいたいかをイメージしてもらいたいですね。10年と言えば社会人となり、人によっては過程を持っているかもしれない。どんな環境の中で家族と暮らしたいか。そこをイメージすると自分の問題と捉えやすいし、環境や原発の問題を考える、いいきっかけになるのではないでしょうか。

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