授業改善「裏側潜入レポート」

yoshida

「実践英語Ia」(2013年度前期 実践英語科目)
 授業担当者:吉田 朋正 准教授 (人文・社会系国際文化コース)

首都大では英語の授業でクラス編成テストを行った上でクラスを分け、レベルに応じた授業を展開しています。「実践英語Ia」を担当している吉田先生に、受験英語とは異なる英語教育への取組と、その目標について聞いてみました。
(「Study+2014春号(創刊号)」より)

Q.「実践英語Ia」とはどのような授業で、どのようなことを目標にしていますか?

受験英語から大学で求められる英語力の習得へ、この授業を通して頭を切り替えてもらうことが目的です。入学時に行ったクラス編成テストを基にクラス分けを行い、各クラスで大学教育にふさわしい英語力の修得をめざします。授業では小説や専門誌などの英文を題材にして講読を実施、英語力の充実を図ります。工学系のクラスであればテクノロジー史を取り上げるなど、ある程度学生の興味のあるものを選ぶようにしています。英語に関しては、学生は皆、受験勉強というかたちで触れてきています。ただ大学でまず身につけてほしいのは、資格取得や就職活動に役立てるための英語ではなく、論文を書いたり専門書を読むための英語力なのです。そこで求められるのは、大学受験のように○×式で答えを解き明かしていくスキルではありません。英語の書籍を何十冊も読むという風に勉強法を切り替えてもらいたいのですが、この授業がそのきっかけになればいいと思っています。

Q.授業ではどのようなことに取り組み、どのような改善を行っていますか?

授業で学生の反応が良かったテーマなどを題材に授業を進めるようにしています。英語の専門誌などを扱うことで、学生の知らなかった世界が広がればいいなと思っています。また、授業の内容が難しいといった意見を学生からもらうこともあります。そうした意見も参考にはしますが、基本的には難易度の高い内容に取り組むことが学生の力にもなると思っているので、そこは敢えて少し難しいと感じるレベルに取り組んでもらっていますね。

Q.この授業で今後取り入れたいこと、また授業を履修する学生に伝えたいメッセージはありますか?

まず身につけてほしいことは、在学中はもちろん、大学卒業後も外国語を学ぶ習慣ですね。そのために必要になるのが、繰り返しますが多くの書物を通して英語に触れることなのです。英語は自然言語なので、プログラム言語のように効率的な勉強法があるわけではありません。日常用いられる言葉は、合理的な規則に還元しきれない生きた習慣です。ですから普段マスターしているつもりの日本語でも、生まれてから一、二冊しか本を読んだことのない人が説得力のある文章を書くとは考えにくい。同様に英語の文章を書きたいと思うのなら、英語の本をたくさん読んでほしいのです。そうした経験の積み重ねから、生きた英語は身についていきます。英語に限らず外国語を生涯にわたって学んでいくという習慣を、この授業を通して身につけてほしいですね。

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