平成23年度前期 離散数学入門a
時間割:火曜3限
教室:1−301
数え上げノート
期末試験は1号館230で行います.普段の教室と違うので注意してください.
授業方針・テーマ
電車の乗換えを調べると,いくつもの道のりの中から最適なルートが瞬時に選び出されて表示される.ネット検索では,キーワードを入れると,膨大な数のページから関連が深そうなURLが瞬時に表示される.このように現代では,有限とはいえ巨大なデータを効率的に取り扱う情報処理技術が必要になっている.
数学・情報のみならず,統計物理,分子構造の決定等でも,状態が何通りあるかの数え上げが必要なことがある.グラフによる表現も有用であり,ファインマン図形や炭水化物の構造式,進化系統樹,回路図等はその一例である.この授業では,有限集合を対象とした数学について,予備知識をほとんど仮定せず講義する.
習得できる知識・能力や授業の目的・到達目標
有限の対象に関する様々な問題に対し,論理的に扱い効率的に解くための,数学的知識と計算能力の基礎を身につけることができる.具体的には,次を学ぶことを目的とする.
(1) 論理演算など有限代数系の初歩的取り扱い
(2) 起こりうる場合を漏れなく列挙して数え上げる技術
(3) 関係をグラフ化して調べたり,行列を用いて計算すること
授業計画・内容
(以下はすべて予定)
第1回 イントロダクション,集合
第2回〜第4回 論理・代数系
第5回〜第7回 数え上げ
第8回 まとめ・演習
第9回〜第11回 グラフの基礎
第12回〜第14回 グラフと行列
第15回 試験・解説
4/12 1. イントロダクション,集合(テキスト1.1, 1.6)
テキスト問1.12を含むレポート
4/19 2. 写像(テキスト1.2),論理(テキスト1.5, 5.1, 5.2, 5.3)
de Morganの法則を真理値表で証明し,レポートと一緒に提出
4/26 3. 論理の標準形,順序集合と束(テキスト3.1, 3.3, 5.4)
レポート
5/10 4. 同値関係,mod n(テキスト3.2)
Z_6の演算表をレポートと一緒に提出
5/17 5. 包含と排除の原理,順列・組合せ
PIEの証明・7回で4人を全員呼び出す場合の数・テキスト6.4の問題,から2問位をレポート
5/24 6. 数列,差分・和分とジョルダンの階乗関数
4乗和をレポートと一緒に提出
5/31 7. 母関数,二項係数とその一般化,カタラン数
提出なし
6/ 7 8. 演習
問題演習による前半のまとめと発展
6/14 9. 演習の解説,鳩の巣原理,重複円順列
演習・講義をしっかり復習すること
6/21 10. 9の続き(Frobenius-Burnsideの定理),グラフの基礎概念
レポート:立方体の面の5色塗り分け(オプション),Petersenグラフの番号付け,問題4.5,問題4.4など
6/28 11. 一筆書き,ハミルトングラフ,木,全域木とクラスカルのアルゴリズム
ハミルトンサイクルをレポートと一緒に提出
7/ 5 12. 二部グラフ,平面グラフ
レポート:4.110前半,K_6の辺の二色塗り分けで同色三角形が2個以上存在すること(オプション),PetersenグラフがK_{3,3}
と同相な部分グラフを含むこと(オプション),その他
7/12 13. 有向グラフ,隣接行列,確率遷移行列
7/19 14. ネットワーク(輸送問題),最大流量最小切断定理,アンケート
7/26 15. 試験・解説
教科書
- テキスト:『情報系のための数学-1 離散数学入門』,守屋悦郎著
- 参考書:『やさしく学べる離散数学』石村園子著,共立出版
- 必要に応じてプリントを配布する.
成績評価方法
期末試験60%,授業参加度・レポート40%
特記事項
- 講義の一部で線形代数の基礎的内容を用いる.
- この講義は学部,コース別にクラス編成を行っているので,所定のクラスで履修しなければならない.都市教養学部理工学系の学生はこのクラスで履修すること.
- 数理科学コースの必修科目である.
- オフィスアワーやメールアドレスは以下を参照のこと:
ホームページ:http://www.comp.tmu.ac.jp/masanori/welcome-j.html
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