平成19年度後期 解析入門IIa

時間割:月曜3限
教室:1(教養)−240

首都大学東京 都市教養学部 理工学系(機械工学以外のコース)「解析入門II」,および,東京都立大学(数学科の学生のみ)「解析概説II」はこのクラスを受講すること.

授業概要

複素解析の基礎事項(コーシーの積分定理,留数定理を用いた定積分の計算方法など)について講義する.

教科書

今吉洋一著「複素解析概説」サイエンス社
※必携とする.なお,火曜の演習(解析入門II演習)でも同じテキストを用いる.

成績評価

期末試験,小テスト,レポートなどによって評価する.
第1回10月1日
複素数を実2次元ベクトル空間として導入し,
相等・加法
定義,代数的性質,矢線ベクトルとしての性質
積
定義,代数的性質
交換法則は口頭で説明し,分配法則は証明した.結合法則はまだ.
z^2-(1+i)z-i=0の解
極座標表示,極形式,複素平面
積の幾何的意味:三角形の相似,回転拡大行列
de Moivreの公式
z^3=1の解
Eulerの公式・指数法則はまだ.

第2回10月15日
Eulerの公式の説明(f'(z)=if(z)による)
三角不等式の証明
コーシー・シュワルツの不等式
直線・円の,方程式・パラメータ表示
2つの三角形の相似を複素数で表す(本質的には積のときにやってあるが)
C^1のエルミート計量と,R^2の内積・外積
C^nのエルミート計量

第3回10月22日
第2章
複素関数
実変数を用いた表示:f(x+iy)=u(x,y)+iv(x,y)
z^2の直交座標表示,座標軸の像と逆像,極座標表示と原点を通る直線の像
1次関数は相似変換
1/z(詳しくはまだ)
指数関数の定義,指数法則(証明),周期,値域,群準同型C→C^*,図示(帯の半分が単位円の内部に)移される
三角関数・双曲三角関数,公式・周期
対数関数(定義式のみ)

第4回10月29日
対数関数の多価性,0では定義されないこと.
複素べき,例:i^i
モジュラ曲面|f(z)|と等高線(絶対値一定)および,偏角一定(例:sin z)
一次分数変換,行列との関係,射影直線P^1,P^1の全単射で逆変換も一次分数変換
レポート問題:
(1) 上半平面Hから単位円板Δへ全射を与える一次分数変換を一つ見出せ.
(あるいは,0を1,1をi,iを0に移す一次分数変換を一つ見出せ)
(2) log(3+i)-log(2-i)を計算せよ.
第3章
複素数列の収束
収束数列の和差積商
複素級数の収束
絶対収束

(11月5日:大学祭片付)

第5回 11月12日
レポート提出
レポート問題(2)解説
収束判定法(優級数の定理,比判定法,根判定法)
Cauchyの積公式(複素級数の和差スカラー倍は省略)
複素関数の極限,連続関数
実関数の偏微分・全微分・C^1級の復習
(複素)微分
z^n, \bar{z}, |z|^2の微分可能性
正則(整型)関数の定義
(複素)微分可能=全微分可能 & Cauchy-Riemann方程式を満たす

第6回 11月19日
(f+g)'=f'+g',積の微分,合成関数の微分
f'=u_x+iv_x
C^1級,Goursatの定理に関する注意(後述の解析関数との関係)
e^z, log zの微分,(log z)'は一価
三角関数の微分
C^2級,調和関数,Laplace方程式(静電ポテンシャル),Laplacian
例:無限に長いコンデンサの静電ポテンシャル
逆関数の定理(正則関数版)
ヤコビアン=|f'|^2

第7回 11月26日
逆三角関数の微分
領域保存の原理
等角写像とf'≠0は同値(全微分可能を仮定)
複素偏微分:定義,正則と「反正則微分が0」は同値
第4章 複素積分
線積分
複素積分:実部と虚部へ帰着して定義,dz/dtを用いた表示と一致する
例:べき乗の積分
Greenの定理
Cauchyの積分定理
注意:Goursatの定理・Moreraの定理(証明しない)

第8回 12月 3日
積分路
積分の関数・積分路に関する線形性
積分路の変形
第5章 正則関数
Cauchyの積分公式
基本不等式
積分公式の逆,正則関数は何回でも微分可能

第9回 12月10日
第2回レポート問題配布
(べき関数の微分→レポート)
テイラー展開
コーシーの評価
例:e^z(指数関数の定義は一致する),
1/(1-z), 1/(1+z), 1/(1+z^2), 1/(1+z)^2, log(1+z), 1/(az+b) (a,b ≠0)
リューヴィルの定理
代数学の基本定理

第10回 12月17日
一致の定理
零点の孤立
第6章 有理型関数
ローラン展開

第11回  1月 7日
レポート第2回提出期限(講義前)
確認試験

第12回  1月21日
プリント配布
孤立特異点の分類
有理型関数(正則関数の比は有理型関数)
留数
留数定理
留数計算(ローラン展開の応用,部分分数展開,単純極の留数)

第13回  1月28日
高次の極の留数
積分計算への応用(三角関数の有理関数,広義積分,フーリエ積分,単純極の迂回)

期末試験  2月 4日

期末試験追試 2月 6日

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