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知覚・認知の視点から運動をひも解く 樋口貴広(知覚運動制御研究室)

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#779 日本生態心理学会イベント「やわらかいロボットから考える身体」

3月14日に甲南大学東京駅前キャンパスにて,日本生態心理学会のイベントが開催されました。ここではその概要を紹介します。

メインイベントは,新山龍馬(明治大学)の講演「やわらかいロボットから考える身体」でした。やわらかいロボットの研究分野はソフトロボティクスと呼ばれており, 2010年頃から国際的に研究が盛んになった新しい分野とのことです。新山氏の発表では,ソフトロボティクスの分野で開発されているロボットについて,そのトレンドや背景が紹介されました。特に,人間が備える自己受容感覚に似た仕組みをロボットに組み込もうとする試みが,個人的には興味深い内容でした。

新山氏は,機能的な面が着目されるロボット研究の中で,生態心理学の発想を取り入れることでロボット研究の広がりが期待できると発言されていました。我々の研究領域の知識とテクノロジーの融合で新たな知が創生されることを予感させる発言でした。

イベントでは一般発表セッションもあり,私もその一人として,「バーチャルリアリティを用いた知覚ー運動連関研究」というタイトルで話題提供しました。イベントの主旨に合致させるべく,VRを我々の分野の研究に生かすための様々な試みについて発表をしました。他にも研究仲間の児玉謙太郎氏が発表されるなど,充実した内容でした。詳細は下記をご覧ください。

<一般発表>
(1) 木工作家によるヘラの制作過程の分析
 山本尚樹(武蔵野美術大学)
(2)幼児の描画発達の観察研究
 西尾千尋(甲南大学)
(3)イッセー尾形の演技の変遷:身体技法に着目して
 佐藤由紀(玉川大学)
(4)入れ子化されたシステムのダイナミクスの評価:歩行リハビリテーション場面での検討
 児玉謙太郎(東京都立大学)
(5)バーチャルリアリティを用いた知覚ー運動連関研究
 樋口貴広(東京都立大学)

会場は東京駅の真横にあり,最高のアクセスです。また窓からの景観も大変すばらしく(写真参照),よい一日を過ごしました。




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