本文へスキップ

知覚・認知の視点から運動をひも解く 樋口貴広(知覚運動制御研究室)

セラピスト向け情報発信ページ

#736 雑誌「理学療法」の連載「知覚・認知と運動制御」が順調に進んでいます(第5-6回)

雑誌「理学療法」(メディカルプレス社)にて,連載「知覚・認知と運動制御」を2年間担当しています。2023年3月11日現在,8つの論文が発表されています。今回はそのうち第5-6回の概要について紹介します。第1-4回の連載に関する概要は,こちらをご覧ください

  • 第5回  体性感覚と運動制御(山田千晴先生,板口典弘先生,慶応義塾大学)

「道具(外的物体)の身体化」に関する情報が特に豊富な点が特徴となる論文です。大きく3つのトピックが紹介されました。第1のトピックが,体性感覚の基礎特性と関連する脳機能です。教科書的な知識がコンパクトにわかりやすくまとまっています。第2のトピックが,体性感覚の障害です。体性感覚のフィードバック情報が運動制御に重要な役割を果たすという背景のもと,体性感覚障害が運動制御に及ぼす影響を明らかにした先行研究を紹介しています。第3のトピックが,外的物体の身体化です。感覚・知覚に関わる身体化と,行為や動作に関わる身体化の2つに分類して情報が整理されています。

  • 第6回 前庭感覚と運動制御(塩崎智之先生,奈良県立医科大学)

前庭感覚入力に基づく反射や姿勢調節作用は自覚がほとんどないため,その恩恵を自覚しにくいながら,極めて重要な働きであることを,わかりやすく解説してくださっています。前庭感覚が関わる反射系である,前庭動眼反射,前庭脊髄反射,前庭自律神経反射についてその機能が説明されています。さらに,前庭感覚は他の感覚に比べて錯覚などを起こしにくいがノイズが大きいという特徴があることや,前庭感覚に着目した前庭リハビリテーション(前庭リハビリテーション)が,一定の効果を示すとともに前庭感覚障害者以外への適応可能性をもつことについて解説されています。


目次一覧はこちら