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知覚・認知の視点から運動をひも解く 樋口貴広(知覚運動制御研究室)

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#650 第6回精神・心理領域理学療法部門研究会

2021年3月13-14日に,第6回精神・心理領域理学療法部門研究会が開催されました。昨年度同一時期に第5回大会が予定されていましたが,コロナの影響で中止となり,2年ぶりにオンライン形式で開催されました。

私は初日に,「歩行の知覚・認知制御:精神疾患の示唆」というテーマで話題提供をしました。

歩行の知覚・認知制御を「感覚入力に基づき,状況を適切に判断しながら歩行を調整すること」と定義しました。この定義には「感覚入力に基づく行動調整(知覚運動制御)」「状況判断(認知)」「歩行“しながら”の知覚・認知(デュアルタスク)」という3つのポイントがあることを説明し,それに即した様々なトピックを紹介しました。

その上で,歩行の知覚・認知を行動ベースで評価する具体的な方法について紹介しました。研究室で長く取り組んでいる行動選択の評価(通れる/通れない,AかBか,など)や,最近力を入れている行動の迅速修正の評価について紹介しました。

精神疾患への示唆として,この研究会でも2年連続で取り上げられている,「統合失調症の内部モデル障害としての理解」になぞらえた説明を試みました。臨床像の認知神経科学的解釈と歩行の制御を結び付けて考えることで,対象となる精神疾患患者の転倒危険性を具体的に考えることができるのではないか,という提案をしました。

今回はオンライン開催でしたが,私自身は学会会場に出向くことで発表をいたしました。運営幹事の先生たちが少人数で運営・司会進行・話題提供の全てをこなされており,とても忙しいスケジュールの中で実施されていました。準備も含めた様々なご尽力に感謝いたします。




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