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知覚・認知の視点から運動をひも解く 樋口貴広(知覚運動制御研究室)

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#642 第25回日本基礎理学療法学術大会

12月12-13日,第25回日本基礎理学療法学術大会がオンライン開催で行われました。本来は私の出身地である仙台開催の予定だったため,オンラインへの変更は残念でもありましたが,結果的に大変実りのある学会でありました。

2日間にわたり様々な発表を拝聴しましたが,身体認知に関する研究を中心に,運動の知覚・認知的な側面にフォーカスを当てた優れた研究が非常に多くありました。脳卒中や痛みの改善として身体認知の歪みの問題に着目する研究や,運動時の身体特異性注意の問題など,認知科学としても重要な話題が豊富にありました。またバーチャルリアリティを扱う研究も多く,技術応用を目指している研究室が多数あることも理解できました。全体を通して大変有意義な勉強をしたと同時に,この分野に研究室としてどのような貢献ができるかを考える,良い機会になりました。

今回教育講演として「知覚に根ざした運動制御・学習の考え方」というタイトルで話題提供しました。内部モデルの概念を中心に,運動と知覚認知のシステムがオーバーラップしているという考え方がトレンドであることについて解説しました。また,隙間通過行動を中心としたアフォーダンス知覚の研究,高齢者の衝突回避行動にみられるオーバーリアクション(保守的方略)に内包する問題,ダイナミックタッチに基づく歩行中の身体知覚の研究(視覚入力に依存しない歩行支援の意義)などについて話題提供しました。

配信型の講演+Zoomオンラインでの質疑というスタイルは,私自身が初めての経験で,色々と勉強・反省しました。配信動画については,「再度取り直せばもっとうまくできた部分」と,「動画を使うと,こちらが意図せずに変なブランク時間が発生してしまう部分」とが混ざっており,このスタイルで話題提供するにはもっと努力が必要と実感しました。今後に生かしたいと思います。

次年度はぜひ多くの院生スタッフとともに参加したいと思います。



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