一部の高齢者において,自分自身の行為能力を過大評価してしまう傾向がしばしば報告されます。行為能力の過大評価とは,本来は能力的にできない行為を「できる!」と判断してしまう傾向です。こうした判断に基づいて行動を選択すれば,本来はまたげない高さの障害物をまたごうとしてしまうなど,つまずきや転倒に結び付く可能性があります。
今回ご紹介する論文は,116名の地域在住高齢者を対象に,3年間にわたって自身のまたぎ能力をどう評価するか調査した結果をまとめたものです。筆頭著者の桜井良太氏(東京都健康長寿医療センター)は,本学域・今中國泰名誉教授の研究室を修了し,国際的に活躍されています。
Sakurai R, et al. Changes in self-estimated step-over ability among older adults: A 3-year follow-up study. Journal of Gerontology: Psychological Sciences. In press. DOI: 10.1093/geronb/gbaa219
結果は概ね以下のようにまとめることができます。