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Hotta-Hattori Laboratory
RESEARCH

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物性物理学とは?
私たちが日常手に触れる物質は、おおむね1cmから1m程度のサイズの階層に属しています。 これらの物質が持つ性質、すなわち物性は驚くほど多様であり、一見したところ、 それらを統一的に理解できる方法はないように思われます。 しかし、オングストローム(ナノメートルの1/10)のサイズを持つ原子の階層から出発すると、 物性が統一的に捕らえられることが長年の研究から明らかになってきました。 このような方向で物性を研究する学問が物性物理学であり、特に計算を手段として、 実験事実を参考としながら物性に関する理論を構成するのが物性理論という学問です。


超伝導とは?
物質に電気を流そうとすると、抵抗が生じることはよくご存じだと思います。 しかし、いくつかの元素や物質では、温度を下げていくと、突然電気抵抗がゼロになること があります。これが超伝導と呼ばれる現象です。 容易に想像できるように、超伝導体は電気抵抗がなく発熱の問題もないので、通常の電磁石 よりも強力な磁力を発生させることができます。それを利用した超伝導磁石は、たとえば 核磁気共鳴画像法 (MRI) で実用化されており、超伝導現象が一般的に活用されている好例です。 今後は、リニアモーターカーにおける磁気浮上システムへの実用も期待されています。

超伝導研究の究極の目標といえるのが、室温超伝導です。 超伝導が起こる温度を転移温度と言いますが、銅酸化物高温超伝導体で最高160ケルビン程度、 摂氏にするとマイナス110℃くらいです。 従来の超伝導体で転移温度はせいぜい数十ケルビンでしたから、それに比べるとかなり「高温」なの ですが、普通の感覚からすると、ずいぶん低温ですね。 この転移温度を室温、あるいは冷蔵庫で冷やせる程度まで引き上げることができれば、 さまざまな便利な材料が作り出せるでしょうし、人類のエネルギー問題の解決にも貢献できるかもしれません。 超伝導の研究は、どこかで室温超伝導の夢につながっていて、それは単なる理論家の空想ではなく、 私たちの生活に大いに役立つかもしれないのです。


磁性とは?
磁性というと少し堅苦しいですが、要するに、磁石の性質を理解する学問です。 磁石というと、子どものころに遊んだ棒磁石や、N極S極を思い出すでしょう。 最近では、普段みなさんが使っている携帯電話のバイブレーターのモーター用に、 より小型で強力な磁石の開発が進められていますが、それには希土類元素の一つ、 ネオジム(Nd)が使われています。

希土類元素とは、下の図にあるように、周期表で下の方に張り出しているランタノイドに含まれる元素です。 希土類化合物の磁性・伝導性・光学特性などのいわゆる電子物性だけでなく、物質の強度などの機械的性質も、 価電子であるf電子(s、p、d の次にくるf軌道を占める電子のこと)によって支配されており、 そのf電子の素性を明らかにすることが重要になっています。 希土類化合物の磁石は、私たちがよく知っているN極S極という単純なものだけではなく、 もっと複雑で奇妙な磁石になっていることがあります。

電子はスピンという内部自由度をもっていますが、簡単にいうと、電子が小さな磁石のようになって いることを意味します。その小さな磁石がある方向に一斉にそろえば、大きな磁石のできあがりです。 そこにさらにf電子の軌道が関係してくると、N極S極だけでなく、もっとたくさんの磁力線の出入り をもつ「変てこりんな磁石」ができることがあります。 このような新しいタイプの磁石の性質を理解することが、最近の物性物理の研究テーマの一つになって いますが、それがより強力な磁石になることがわかれば、意外なところから応用への道が開けるかも しれません。 そういう思いがけない応用への展開があることが、基礎物性研究の面白さでもあります。



超伝導になる元素
下に張り出しているのがランタノイド(上列)、アクチノイド(下列)です。 ピンク色が常圧で超伝導になる元素を表します。緑は薄膜で超伝導になるもの、青は高圧下で超伝導に なるものです。表を見てわかるように、現在では、酸素や鉄も高圧下では超伝導になることが わかっています。超高圧では水素も超伝導になることが期待されています。


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