セラピストにむけた情報発信



研究会参加(臨床を研究する会)





2017年6月5日
5月30日に,キャンパスプラザ京都にて開催された研究会(臨床を研究する会)に参加しました。この会は,5月に出版しました「知覚に根ざしたリハビリテーション」の執筆陣のうち,関西在住の先生との継続的研究交流を意図して企画された会です。30名程度のセラピストの方々が参加されました。

研究会は2部構成で行われました。第1部は,症例検討発表1題と,それに対する質疑応答,第2部は,樋口による話題提供でした。

第1部は,痛みの認知に関する発表でした(舞鶴赤十字病院,田歌麻衣氏)。膝関節の術後に残存した痛みが,運動イメージを利用した介入に軽減されたケースについてのご発表でした。痛みの評価として,描画法を用いている点が特徴的でした。

第2部では,「痛みの認知に関する話題紹介」および「研究と臨床の連続性について考える」という2つのトピックに基づき,60分間にわたり話題提供をしました。

痛みの生起が必ずしも侵害刺激の存在に由来するわけではなく,刺激に対する脳の意味付けによっても生起しうることについて,教科書的に知識を紹介しました。また,こうした痛みの軽減として,ミラーセラピーや運動イメージを用いた介入の効果が検討されていることについて紹介しました。

次に,介入の効果を研究として検証するためには,コントロール条件をいかに正しく設定するかが重要であるということについて,具体例を挙げながら説明しました。また,研究としての厳密さを求めるということと,そうした知見に基づいて臨床の中で様々なアイディアについて試してみるということについては,分けて考えるべき側面があるということについても議論しました。

普段の講演では,研究成果が主役となります。それに対して今回の話題提供では,研究成果を生み出すためのデザインに関する話題が主役でした。質の高い臨床研究を目指すという会の趣旨に合わせた話題提供でしたが,比較的多くの方々に喜んでいただけたように思っています。今後もこうした話題提供の機会が増えればよいなと思う次第です。

会の主催者であり本の執筆者であります,真下英明氏(舞鶴赤十字病院)と伊庭新也氏(野洲病院),そしてオーガナイズに関わった多くの先生方に感謝申し上げます。


(メインページへ戻る)