セラピストにむけた情報発信



学会報告:四国理学療法学会




2010年11月16日

11月13-14日に,高知県にて第39回理学療法士学会が開催されました.学会長は土佐リハビリテーションカレッジの宮本謙三先生です.今回は特別講演の講師としてお招きをいただきましたので,その状況を報告いたします.

実は私自身が理学療法士系の学会に参加させていただくのは,今回が初めての経験でありました.これまで社会人大学院生の共同研究者として名前を登録したことはありましたが,自分自身が参加する機会に恵まれませんでした.学会のスタイルは領域によっても微妙に異なる場合もありますので,そうした差異を楽しみつつ,学会にてさまざまな情報を収集いたしました.

四国理学療法士学会は学会員が4000名にものぼるとのことです.この数字は私たちの領域では考えられない数字です.実際に学会に参加するのは500名程度ということですが,一般口頭発表には重要なトピックスがバランスよく含まれている印象で,拝聴しながらいくつかヒントをいただきました.

私自身は「知覚・こころと身体運動学」というタイトルで発表をいたしました.

通常こうした講演の機会では,知覚・認知と身体運動に関する研究の話題について取り扱います.しかし今回はそれに加えて,こころの問題,すなわち臨床場面における患者さんの気持ちの問題についても触れることとなりました.

このテーマは,大会運営の中心人物であります竹林秀晃先生からの依頼により決定しました.

竹林先生とは以前から学会等で面識があります.私が首都大学東京オープンユニバーシティの講座としてコーチングの話題を取り上げた際,わざわざ高知からお見えになってご参加くださいました.この際の話題を講演に取り込んでほしいという依頼により,今回のご報告のテーマとなりました.

なお,竹林先生の業績につきましては,過去のページにて紹介していますのでご参照ください.

講演前半の知覚については,知覚・認知的な知識を含めて身体運動学として学んでいくことの重要性について,枠組みをお話ししたあと,視覚運動制御の観点に基づく臨床歩行研究の例についてご紹介しました.

後半のこころの部分については,時間的な制約もあり概念的な話題にとどまりましたが,研究成果に基づくセラピーが臨床で効果を発揮するには,患者さんがセラピーに自発的に取り組む態度が不可欠であり,そのためには患者さんの抱える心的苦痛や困難に共感的に理解する必要がある,ということについて述べました.

レセプションでは非常に多くの方とお話をする機会に恵まれ,非常に充実した時間を過ごしました.普段よりもかなり多めに名刺を用意したつもりでしたが,あっという間に全てなくなるほど多くの先生方とお話をすることができ,会話を通して新しい知識を吸収することができました.

同じ特別講演として畿央大学の森岡先生も招待されておりました.高知は森岡先生のご出身ということもあり,講演のスタイルにも特別なものを感じさせました. また森岡先生は,初参加の私が多くの先生たちと交流することができるようにと,多岐にわたって細やかなお気遣いをしてくださいました.

森岡先生はまさに気配りの人で(皆さまの目にはそうは映っていないかもしれませんが...),お会いする機会を頂戴するたびに本当に恐縮してしまいます.あの人柄が,研究・講演内容と合わせて多くの人を惹きつける魅力だと思います.


最後に,大会運営に携わったすべての先生方に深くお礼を申し上げます.



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