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南大沢キャンパス銀杏伐採式が行われました。

2017/1/10

2016(平成28)年も押し迫った12月27日(火)12時40分から南大沢キャンパス、情報棟裏の駐車場において[南大沢キャンパス牧野標本館増築に伴い伐採される2本の銀杏を送る会]による銀杏の伐採式が行われました。標本館の増築のため樹木の伐採が必要となり、その中に東京都立大学の目黒・深沢校舎から移植された樹木のうちのイチョウ2本も含まれました。この2本をキャンパス内の他の場所に移植することも検討されましたが、樹勢が弱く移植が難しく伐採することになったとのことです。伐採式は本学考古学教室が取り組んでいる[実験考古学]の縄文時代の石斧を用いて行われました。伐採式当日の午前中は、寒冷前線と温暖前線のぶつかる冬の嵐の荒れた天気で、伐採式がおこなえるかどうか心配されました。式の始まるころには、風もおさまり、弱い雨が降ったり止んだりの状況となり、留学生、同窓会員をまじえ約40名の参加があり伐採式は無事に行われました。なお、この2本のイチョウの挿し芽はすでに行われ、今後苗木はキャンパス内に植えられ、これらのイチョウのDNAは受け継がれていくとのことです。 [2本の銀杏を送る会]は山田昌久(人文科学研究科・考古学教室)村上哲明(牧野標本館・生命科学教室)黒川 信(理工学研究科・生命科学教室)の3名の先生方が共同代表でした。


可知先生の挨拶要旨
牧野標本館は牧野富太郎博士が採集した植物見本など50万点の標本を所蔵、これらの標本を中心に整理を行い、各方面の研究に役立てている。この程、標本館が手狭となり、今後20年間の標本増加量を見越した標本収納数を考慮して標本庫・標本作業室を中心として2階建て延べ1350㎡を増設。2017(平成29年〕末には竣工する。 牧野野標本館については次のURLをご覧ください。 http://www.biol.se.tmu.ac.jp/herbarium

可知 直毅理工学研究長 挨拶


黒川信准教授  [首都大銀杏の由来]の説明要旨
1991年の都立大学の目黒・深沢キャンパスの南大沢キャンパスの移転に際して、目黒校舎からイチョウ31本、深沢校舎から4本、そのほか目黒校舎からクスノキ4本、梅1本、カイドウ1本、ハイカンツバキ1本、深沢校舎から、メタセコイヤ7本、ケヤキ3本合計52本が大型トレーラーで運ばれ移植されました。目黒キャンパスの銀杏並木は[松田こかげ]と呼ばれ、木陰の下にあったその名を刻んだ小さな石碑は移植とともに南大沢に運ばれ、現在講堂の裏手におかれています。[松田こかげ]の由来は昭和14(1939)年、首都大学東京・東京都立大学の前身の東京府立高等学校の時代にさかのぼります。1939年5月15日に満州事変から始まる15年戦争での府立高校卒業生最初の戦死者(戦病死)となった松田誠一氏(府立高校2回生)を悼み誠一氏の令弟 忠雄氏(府立高校7回生)から校友会に200円が寄付されました。これをもとに府立高校は誠一氏が在学中に蹴球部(サッカー部)で活躍したことにちなんで西側のグランドのゴールポストの方向に続く銀杏並木を整備し(松田こかげ)と命名しました。
 今回伐採対象となったイチョウは深沢校舎から移植のイチョウとのことです。目黒校舎から移植のイチョウの多くは南大沢キャンパスの南門から1号棟、インフォメーションギャラリー、本部棟に続く道に移植され銀杏並木となっています。

目黒校舎から移植された銀杏並木 
毎年秋には黄葉したイチョウの下で学生による
イベントが催される
光の塔とイチョウ
11月に入るとイチョウは太陽の光を浴びて光り輝く


縄文、弥生時代の木材利用の歴史、石斧の材質・石斧の変遷などの解説がありました。
中生代に生育していたイチョウはヨーロッパでは既に絶滅し、日本でも絶滅したが鎌倉時代に中国から再度持ち込まれたものである。1690年に日本に来たドイツ人医師 Engelbert Kaempfer によって発見され、ヨーロッパに紹介されたこと,石斧の材質は固い蛇紋岩が使われていて良質な蛇紋岩がでる地域は限られていて、石斧を作ることに特化した集落もあったとのことです。石斧にも変遷があり、今回は約3000年前の石斧(レプリカ)を使いました。

石斧の変遷を説明する山田昌久教授 

伐採のイチョウは樹勢が弱り、支柱を建てていた 石斧の威力はなかなかなものであることが分かりました
何人かの女性も石斧を振るう ほとんどの参加者が石斧をふるった。
最初に山田教授が石斧の使い方を説明、最後に状況を確認。この後は専門家による伐採が行われる。


小雨の中、石斧での伐採式を見守る参加者。
式ではほぼ全員が石斧を使っての伐採に挑戦し石斧の感触を味わっていました。同窓会では参加者に芋汁をふるまいました。