平成26年度後期 幾何学特別講義II・広域数理科学概論(2)
時間割:水曜3限
教室:11−101
授業方針・テーマ
特異点理論の基礎について講義する.
習得できる知識・能力や授業の目的・到達目標
滑らかな関数の逆像は,勾配ベクトルが消えない点では陰関数定理により部分多様体になる.そうでない点は臨界点・特異点と呼ばれる.関数や多様体の特徴はしばしば特異点に集約されるので,特異点の情報を取り出すことが大切であるが,局所線形近似が使えないため独自の手法が必要となる.また,特異点を解消するには様々な方法があり,それらの非自明な関係は興味深く最近の重要な話題の一つである.
そこでこの講義では,特に重要な特異点である有理2重点の様々な定式化を通じて,2次超曲面など種々の基本的対象に親しみながら,特異点についての基礎的知識を易しく学ぶことを目的とする.
授業計画・内容
第1回 授業の目的と概要,陰関数定理,臨界点・特異点
第2回 Hesse行列と2次式の標準形,2次超曲面の分類
第3回〜第4回 座標変換,Morse理論の初歩
第5回 曲線の特異点
第6回〜第8回 方程式の変形,Milnorファイバー,単純特異点
第9回〜第10回 曲面の特異点,爆発,Du Val特異点
第11回〜第12回 軌道体,Klein特異点,正多面体との関係
第13回〜第15回 ADE特異点,関連する話題
テキスト・教科書等
参考書:
泉屋周一・石川剛郎,応用特異点論,共立出版,1998.
松澤淳一,特異点とルート系,朝倉書店,2002.
その他,講義時間中に指示する.
成績評価方法
授業参加度・レポート100%
特記事項
群論および多様体論の基礎的内容(幾何学A・代数学A)を用いる.
幾何学B,幾何学特別講義Iと関連するが,履修を前提とはせず必要事項は(証明抜きで)紹介する.
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