研究方針
当研究室では、構造物の主要材料であるコンクリートについて、それを構成するセメント、骨材、混和材料等の諸特性を把握し、フレッシュ/硬化コンクリートの諸性質の向上技術、並びに耐久性向上技術について研究しています。
また、社会動向の変化を踏まえ、環境保全、環境との調和を研究課題の大きな柱の一つと位置づけ、資源の有効利用に取り組んでおり、例えば、鉄鋼産業から産業廃棄物として処分されるスラグを骨材やセメント代替として使用する場合の性能評価についての研究を進めています。さらに、ごみ焼却灰を利用して製造されるエコセメントを用いたコンクリートの諸性質を把握し、循環型社会へ移行するための研究を推進しています。
時代は新設からリニューアルへと移行していることから、高品質のものを構築し、構造物の延命を計り、できるだけ長い時間、供用していくことも我々の課題です。耐久性を支配する各種要因の影響度を評価することが、今後の維持管理ならびに新設構造物の合理的設計には欠かせません。そのような背景のもと、セメント化学的観点から、耐久性評価手法を検討し、合わせて、補修・補強技術についても研究を行っています。
所属教員および研究概要
<教授> 宇治 公隆 Kimitaka UJI
主な研究対象:
コンクリート工学、コンクリート構造物の耐久性向上、補修・補強
鉄筋コンクリートの設計・施工方法、構造物の維持・管理・ライフサイクル分析
【研究実績の概要(2018年度)】
コンクリート構造物の品質確保及び耐久性向上を目的とし、フレッシュコンクリートの流動特性、材料分離抵抗性につ いて研究した。実構造を模擬した鉄筋の間隙部を通過するコンクリートの流動特性を実験的に把握し、コア試験体の強度
及び AE 測定による骨材分布特性から、施工条件(鉄筋と内部振動機の距離、水セメント比)が鉄筋通過後のかぶりコンク リートの品質に及ぼす影響について検討した。また、プレキャストコンクリートの品質ならびに耐久性向上のため、一般
的な蒸気養生方法に散水を組み合わせた養生方法を提案し、コンクリート表層部の細孔径分布の測定から、散水の効果を 明らかにした。さらに、CFRP
格子筋と吹付けモルタルを用いた既設 RC 構造物の補強メカニズム及び耐荷力算定方法に ついて検討した。
<准教授> 上野 敦 Atsushi UENO
主な研究対象:
コンクリート工学、コンクリート材料学、土木材料学
環境に貢献できるコンクリートの実用化、コンクリート用材料の特性評価と応用
【研究実績の概要(2018年度)】
都市の環境改善、コンクリートの環境負荷低減の観点から、エコセメントと再生骨材を用いた超硬練 りコンクリートの耐久性とすべり抵抗性に関する検討を行った。また、コンクリートの基礎研究の観点から、
高度浄水処理における躯体劣化、硬化促進形混和剤の特性と影響、火山性堆積物の特性評価とコンクリ ートへの適用性、短繊維の均等分散に関する基礎検討、部材内の応力分布の推定などについて検討した。
<助教> 大野 健太郎 Kentaro OHNO
主な研究対象:
コンクリート工学、コンクリート材料学
コンクリート構造学の維持管理(非破壊検査)、弾性波法
【研究実績の概要(2018年度)】
既設コンクリート構造物の各種劣化現象に対し、各種非破壊試験方法を用いて以下の事項に取り組んだ。 (1)AE 法および衝撃弾性波法を用いた RC
床版の疲労劣化過程の考察、(2)火害を受けたコンクリートの 衝撃弾性波法による劣化範囲推定およびエコーチップ硬さ試験機の適用性評価、(3)超音波法による
PC 部材の応力推定手法の開発、(4)弾性波法によるコンクリートダム躯体の健全性評価、(5)鉄筋とコンクリ ートの付着状態の推定など。
過去の研究概要
- 2017年度
- 研究概要