日本のバブルと1990年代


■ バブルと90年代を回顧した書物のリスト

◆ 破綻ドキュメント 通史的なもの

◆ 金融破綻の当事者たち

▼ 山一証券

▼ 長銀・拓銀・日債銀

▼ 政府関係者

◆ 研究者・エコノミストによるもの

どこかの?書評 本書の基本認識は、90年代の不況の原因は「需要不足」だというところにある。そして「平成不況」とも呼ばれるこの十年間を3つの時期に分け、それぞれに固有の原因と、全体に共通の原因をまず考察する。その主張のひとつは、バブルの崩壊や不良債権などの金融面のトラブルよりも、設備投資の落ち込み、消費の低迷といった需要側の実体的な要因がはじめは強く働いたということ、そして不況に追いうちをかけたのが、97年の財政政策の失敗と「クレジット・クランチ(貸し渋り)」であったということである。
バブル期の地価高騰も、低金利だけではなく、非製造業における「土地集約的」な経済活動にその第1の原因があると著者はいう。東京は近い将来、世界の金融センターになるからオフィス需要が急増するにちがいないとか、豊かになった日本人が、さらにゴルフ場をはじめとするリゾートを求めるにちがいない、といった浮薄な予想が、そんな行動を促したと説く。
もう一つ 基本的なスタンスとして、90年代の不況の原因は「需要不足」であるとしている。最近主流になりつつある「潜在的成長力低下論」はとらない。90年代の経済を分析する過程で著者は、GDPの実質成長率に対する消費、投資、政府支出などの成長への寄与度を分析する。消費と投資の需要が減少したことが、この不況を長期化させたと結論づける。本来消費と投資の減少を埋めるべき財政支出が不適切だったことも不況をさらに深刻化させた、と主張する。その意味で97年の「財政改革法」による財政支出の大幅な減少は、火に油を注ぐことになった。この点を強調して、著者は「人災」、財政政策の「逆噴射」と言っている。また、需要の低迷の権化のようにいわれる(バブルの崩壊による)資産価格の下落による「逆資産効果」を消費低迷の主因ではない、としている。
 92年のバブル崩壊で「逆資産効果」の影響を大きく受けたのは、法人経営者、自由業者、高齢退職者層だったので、これらの人たちの消費の落ち込みは大きかった。だが、家計消費全体の「逆資産効果」の影響はそれほどではない。消費への影響が大きいのは「雇用不安」や「公的負担増」である、と述べている。このように需要面の影響を分析していく。

◆ 総会屋事件その他

◆ 銀行救済策

◆ メインバンク制度と日本的システム批判

◆ その他