徳永研究室の長期的な研究テーマは3つあります: | ・代数多様体のGalois 分岐被覆の構成問題 |
各テーマを少し詳しく解説します: | |
代数多様体の Galois 分岐被覆の構成問題 | Galois 分岐被覆の構成問題は,代数学の古典的な問題である「Galoisの逆問題: 与えられた有限群と同型なGalois群を もつGalois 拡大を構成せよ」の代数幾何学版であり,つぎのように 定式化できます. 問題:Gは有限群, Y は非特異代数多様体, Bは Y の上の被約な因子とする. Y 上のGalois 分岐被覆で,B に沿って分岐し,そのGalois群が G に同型であるものが 存在するか判定し,存在する場合はその構成法を明示的に与えよ. 存在性に関する問題は YからBを取り除いた空間の基本群に密接に結びついており,これが二つ目のテーマに 結びついています.Galois被覆の構成問題では,整数論の視点が結構大切になってきます.現在は,2次体の整数論のアナロジーや,関数体上の楕円曲線の有理点を利用した Galois被覆の構成について考察しています.. |
Galois 分岐被覆とトポロジー | 上で,述べたようにGalois分岐被覆の研究はYからBを取りぞいた空間のトポロジーの研究と密接に結びついています. これまでは,Zariski pair の構成や,平面曲線の退化にともなう補空間のトポロジーの 変化を対象に研究を行ってきましたが,これからも「Galois 分岐被覆の構成法の応用」として こうした研究を行う予定です.なお,この方面の研究成果の一部で比較的古いものは,拙著「代数曲線と特異点 第 I 部,特異点の数理第4巻,共立出版」 で解説しています. |
計算論的学習理論の視点からみた代数系の研究 | このテーマは,京都大学情報学研究科の山本章博教授と共同で行っているテーマです. 計算論的学習理論のなかの「正例からの学習可能性」にあらわれる概念には, 代数学におけるNoether性と類似なものが登場します.従来,計算論的学習では, いわゆる「形式言語(自由モノイドの部分集合)」が研究対象でしたが,これを 可換環のイデアルに置き換え,代数構造をより意識した研究を行ったらどうか?または, 代数系を「計算論的学習」というあらたな視点から捉えたら何がわかるか?という研究をしています. 現在は,イデアルを より一般化した閉集合族に関して研究中です. |
徳永研究室のメンバー |
2012年度は博士前期課程の6名と学部4年生3名です |