平成22年度前期 離散数学入門c

時間割:火曜3限
教室:1−101 (期末試験教室:1−210)
補充プリント(2010.6.1更新)

授業方針・テーマ

 電車の乗換えを調べると,いくつもの道のりの中から最適なルートが瞬時に選び出されて表示される.ネット検索では,キーワードを入れると,膨大な数のページから,関連が深いと思われるもののURLが瞬時に表示される.このように現代では巨大なデータを効率的に取り扱う情報処理技術が必要になっている.  この授業では,情報処理やオペレーションズ・リサーチ等の基本である,有限集合を対象とした数学について,予備知識をほとんど仮定せず講義する.

習得できる知識・能力や授業の目的・到達目標

 有限の対象に関する様々な問題に対し,論理的に扱い効率的に解くための,数学的知識と計算能力の基礎を身につけることができる.具体的には,次を学ぶことを目的とする. (1) 論理演算など有限代数系の初歩的取り扱い (2) 起こりうる場合を漏れなく列挙して数え上げる技術 (3) 関係をグラフ化して調べたり,行列を用いて計算すること

授業計画・内容

第1回		イントロダクション,集合
第2回〜第4回	論理・代数系
第5回〜第7回	数え上げ
第8回		まとめ・演習
第9回〜第11回	グラフの基礎
第12回〜第14回	グラフと行列
第15回		試験・解説

4/13  1. イントロダクション,集合(テキスト第1章§1)
テキスト演習問題をいくつか解いて,来週の授業の最初に提出.

4/20  2. 論理(テキスト第1章§2)
テキスト演習問題をいくつか解いて,来週の授業の最初に提出.

4/27  3. 代数系(テキスト第3章)
(提出課題なし)
今回は難しいこともやりましたが,次回からはまた易しくなります.

5/11  4. 順序集合と束(テキスト第4章)
テキスト演習問題51,54を解いて,来週の授業の最初に提出.

5/18  5. 数列
関数・写像,差分・和分とジョルダンの階乗関数,線形漸化式,母関数
提出課題:テキスト演習問題26,4乗和の公式,母関数による漸化式の解法

5/25 6. 数え上げ1
無限集合,可算集合,Cantorの対角線論法,重複組合せ
提出課題:x1+x2+x3=8,x1≧1,x2≧1,x3≧0の整数解の個数を求めよ.

6/ 1  7. 数え上げ2
特性関数,包含と排除の原理,対称群,同値関係
提出課題:テキスト演習問題38

6/ 8  8. 演習
問題演習による前半のまとめと発展
提出課題:演習の残り

6/15  9. 演習の解説,グラフの基礎1
グラフの基礎概念,グラフ理論の第1定理
提出課題:テキスト演習問題61,62

6/22 10. グラフの基礎2
一筆書き,ハミルトングラフ,Catalan数
提出課題:テキスト演習問題74,75

6/29 11. グラフの基礎3
第2定理,木,全域木とクラスカルのアルゴリズム,平面グラフ
提出課題:テキスト演習問題70,71

7/ 6 12. グラフと行列1
有向グラフ,確率遷移行列,隣接行列,安定結婚問題
提出課題:授業中に出した問題(定常状態を求めよ),テキスト演習問題64

7/13 13. グラフと行列2
対応・関係,ネットワーク(輸送問題)
提出課題:テキスト演習問題18,20,(23),授業中に出した輸送問題(最大流量を求めよ)

7/20 14. グラフと行列3
演習問題解説,グラフ理論補足(経路の数等),重複円順列
アンケート

7/27 15. 試験・解説
試験範囲:テキスト(161ページまで),数え上げ,クラスカルのアルゴリズム,フォード・ファルカーソンのアルゴリズム.
テキストの演習問題と,第8回の演習を復習しておくこと.

教科書

『やさしく学べる離散数学』石村園子著 共立出版(ISBN978-4-320-01846-4) 必要に応じてプリントを配布する.

成績評価方法

期末試験60%,授業参加度・レポート40%

特記事項


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