セラピストにむけた情報発信



講演@JACOT研修会「言葉がけの心理学:丁寧すぎるはもろ刃の剣」




2017年12月4日
12月2日に,日本体育大学世田谷キャンパスにて,NPO法人日本コーディネーショントレーニング協会(JACOT)様主催の研修会があり,講演を担当いたしました。


JACOT様は,昨年度私の研究室を修了した,高橋美紗江氏の勤務先であり,そのご縁で講演の仕事を頂きました。

「言葉がけの心理学:丁寧すぎるはもろ刃の剣」というタイトルで講演をしました。

丁寧に指導しようとすればすると,言葉がけも丁寧に,かみ砕いて何度も何度も説明したいと思うことがあります。確かに,そのようなかみ砕いた丁寧な説明によって,相手の理解が深まることや,こちらの誠意が伝わることがあるように思います。しかしながら,“運動の学習を支援する”ということに関して言えば,動きの一つ一つを言語化して教えることの弊害があるのではないか,という指摘もあります。講演では,こうした情報を整理することで,言葉がけの時にどのようなことに気を付ければよいかを解説しました。

もう1つの講演として,日本体育大学の野井真吾先生がお話をされました。「気になる子供のからだと心:元気のための3つの提案」というテーマでした。

子供の体力低下が指摘されるものの,疾病や全国体力テストのレベルでは必ずしもそうした兆候が顕著には見られないという事実があります。こうした中,野井先生は,子供を観察して思う疲労感や姿勢のおかしさは,自律神経機能調節の不具合,前頭前野の興奮性調節の不具合に原因があるのではないか,というお話をされました。

自律神経機能調節については,メラトニンという物質の分泌量を根拠に,「日中に日光を浴びること」,「夜に明るい光を浴びすぎないこと」が重要であるという解説がありました。

前頭前野の興奮性については,心理学の分野でも良く利用される行動測定である,Go/No-Go課題を使った測定を実践されていました。抑制が上手くいかない子供を不活性型とラベル付けし,不活性が日常の運動経験によって改善しうる可能性について解説されました。

聴講された皆様の活気がとても高く,一つ一つの話題に感嘆の声を上げながら聞いてくださったこともあり,こちらもいつも以上に張り切って話をすることができました。JACOTの皆様,ならびに会場の皆様に感謝する次第です。




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