セラピストにむけた情報発信



サッカーのドリブルにおける視覚依存度 (Fransen et al. 2017)




2017年10月16日
今回ご紹介するのは,10-18歳のサッカー選手を対象として,ドリブル中の視覚情報の依存度について研究した研究です。

Fransen J The influence of restricted visual feedback on dribbling performance in youth soccer players. Motor Control 21, 158-167, 2017

この研究では視覚情報の依存度を調べるために,ナイキ社から市販されているNike Vapor Strobeというメガネを使って,ストロボ的に視覚情報を利用できる状況を作りました。0.1秒ごとに視覚のオン/オフを繰り返す条件(Strobo3)と,0.1秒/0.65秒の割合で視覚のオン/オフを繰り返す条件(Strobo7)が設定されました。つまり,Strobo7では,ほんのわずかな時間だけしかボールを見ることができない条件となります。

実験では,あらかじめ参加者189名をドリブルの速さによって3群に分けていました(Fast, Average, slow)。その結果,いずれの群の参加者も,視覚情報の制限が強いほど,指定のコースを回るための所要時間が遅くなりました。特に,最も早くドリブルができるFast群において,成績低下が最も顕著でした。

この結果から,少なくともこの研究で対象とする年齢のサッカー選手の場合,ドリブル中の視覚依存度が高いこと,そして,ドリブルスピードが高い選手ほど依存度が高くなることがわかります。

ドリブルスピードが速いということは,それだけドリブル中により遠くへボールが転がることになるため,ボール位置の予測も難しくなることから,視覚依存度が高くなるのだろうと,著者らは解説します。

また著者らは,こうした視覚依存度は,練習初期から視覚に依存してドリブルをしていたことが影響していると考え,練習初期からストロボ的な条件で練習することで,視覚に依存せずともドリブルができるようになるのではないか,と考察しています。


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