セラピストにむけた情報発信



転倒しても怪我をさせないための研究
(Stephen Robinovitch氏の講演)




2017年4月11日
少し前の情報になりますが,興味深い講演を拝聴いたしましたのでご報告いたします。2月16日に産業総合技術研究所臨海副都心センターにて開催された,海外招待講演です。

お目当ては,カナダ・サイモンフレイザー大学のStephen Robinovitch氏の講演でした。長期ケア施設の公共スペースに数百台のビデオカメラを取り付け,転倒の実態を調査した研究がとても有名です。

90分に及ぶ話題提供のなかで大変印象的だったのが,「転倒した高齢者に大怪我をさせないために何ができるか」という視点での研究です。

転倒した際に頭を守ることはとても重要です。Robinovitch氏,転倒の実態調査から,頭部を守ることができた場面と,頭部を床にぶつけてしまった場面の違いを詳細に検討しました。その結果,転倒の際に頭部を守るためには,上肢,首,体幹の使い方が重要であると結論付け,それらの部位の強化を狙ったエクササイズを提案し,実践に結びつけています。

転倒を予防する視点ではなく,転倒してしまったとしても大事に至らないようにする視点での研究に感銘を受けました。

この講演は,ヒューマンロコモーション評価技術協議会主催のイベント(今回に限り一般公開)でした。小林吉之さんにお誘いいただきました。
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