セラピストにむけた情報発信



1年間のサバティカル期間終了




2017年3月31日
2016年度の1年間,私はサバティカル(特別研究期間)を取得していました。サバティカルの期間中は,学部生対象の授業およびすべての会議が免除され,空いた時間を自分の時間に充てることができます。

本学では准教授以上として8年以上勤務すると,サバティカル取得の権利が得られます。2006年度に教員になった私にとっては,11年目に取得したことになります(助教の場合,5年勤務で半年間取得の権利)。

サバティカル期間中は,海外で研究経験を積むまたとないチャンスですので,多くの人たちが外国に行きます。しかし私は,ほとんどの時間を大学の自分の部屋で過ごすことにしました。サバティカルを,「頭の中の大掃除」に利用したかったからです。

10年間の教員経験の中で,やり残したことが少しずつ積みあがっていきました。論文化したいのに手が付けられなかったデータ,買ったまま読めずに積みあがっている本,構想のまま眠っている文書,徐々に整理しきれなくなってきた収納棚・・・,こうしたものを一気に片付けるために,この一年を使いたかったのです。そのためには,自分の部屋にこもるのが一番と考え,実行してみました。

大学院生を多く指導している立場としては,長期にわたり海外で過ごすことで,指導に滞りが生じるかもしれないという懸念もありました。また海外生活においては準備にもそれなりの時間がかかります。そうした時間を全て有効に使いたいという想いもありました。きっとこのような気持ちにある私が海外で長い時間を過ごしても,成果は限定的だろうという想いが,国内で過ごす決断に至らせた,ともいえます。

おかげさまで,研究室の研究体制が改善されました。ハードウェアとしての拡充に加え,子供の研究が高齢者の研究をするためのフィールドづくりが結実を迎えつつあります。

また,新しいことにもチャレンジしてみました。ヨガやボルダリング体験,ずっと行ってみたかった学会や研究会への参加,新しい人たちとの共同研究に向けた数多くの交流など,様々なトライをしました。いずれも時間ができて頭がクリアーになったからこそ,思い切って踏み込むことができた,と思っています。

ただし,サバティカル期間中に自分の大学で過ごすことには,デメリットがあることも体感しました。

第1のデメリットは,たとえサバティカル期間中は学内の業務は免除されても,学外の業務は免除されないということです。もしも海外に行っていれば断れるような業務も,強くお願いされればつい引き受けてしまうこともありました。

第2のデメリットは,慣れたオフィスで時間を過ごすと,つい普段と変わりない日常生活を過ごしてしまうという点です。結果的に,メール処理などに時間を使ってしまい,サバティカル本来の意義を100%達成できていないのではないかと,何度も期間中の生活を見直すことになりました。

2016年度の一年間は,私のキャリアにとって忘れられない一年になりました。サバティカルの制度がきちんと整備されている本学に感謝しつつ,明日から様々な形で恩返ししていきたいと思っています。

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