セラピストにむけた情報発信



今中國泰教授ご退職記念行事




2016年2月29日
研究室の上司である今中國泰教授が,本年度で定年退職となります。

2月27日(土)に,ご退職記念行事としまして最終講義ならびにパーティーを実施いたしました。

以下,今中先生のご略歴です。
  • 1973 埼玉大学理工学部機械工学科卒業
  • 1975 東京教育大学大学院体育学研究科修士課程修了
  • 1991 Ph.D. The University of Queensland, Australia
  • 1975 長崎大学 教養部 助手
  • 1979 長崎大学 教養部 講師
  • 1983 長崎大学 教養部 助教授
  • 1991 長崎大学 教養部 教授
  • 1995 東京都立大学 理学部 教授
  • 1997 東京都立大学 理学研究科 教授
  • 2005 東京都立大学から首都大学東京への統合・改組
  • 2006 首都大学東京人間健康科学研究科 教授

最終講義のタイトルは,「表象的慣性Representational Momentum プロジェクト研究の展望」でした。このタイトルは,今中先生が研究代表者を務める科学研究費補助金(基盤研究A)「予測的知覚の潜在的・顕在的機能に関する認知行動科学的研究」(H25-29)にちなんでつけられたタイトルです。

Representational Momentum(RM)とは,移動する視対象をしっかりと眼で追従させ,その視対象をあるタイミングで消失させると,実際の進んだ位置よりも進んだ位置で視対象が消えたと感じる錯覚現象です。今中先生は,このRMの現象を理解することで,知覚情報処理の時間遅れを補完する機能が理解できるのではないかと考え,研究を進めていらっしゃいます。

講演の中では,RMは生得的な機能か,それとも学習に基づくものか,という大きな疑問にこたえるべく,様々な研究を進めていることについてご紹介くださいました。スポーツ熟練者のほうがRMが大きいことや,年齢別にRMの大きさを比較すると,幼児の頃が一番大きく,年齢に伴って徐々に小さくなる傾向があることなど,最新の研究成果の内容とその意義について,ご解説いただきました。

最終講義において,あえて現在進行形で行っている研究だけにフォーカスを当てて説明されるあたりが,今中先生らしい構成とも言えます。

当初は,「昔の思い出話は一切しない」というご構想であったようですが,周囲の方々の強い要望もあり,冒頭の数十分を使って,研究者に至るまでの生い立ちや,現在に至るまでの様々な出会いについてお話しくださいました。

研究においては論理的な思考が求められますが,研究者になると決めるまでの様々な人生経験や,現在のご関心にたるまでの過程を拝見すると,必ずしも全てが論理的に決まっているわけではなく,多くの偶然や,一見したところ些細な出来事が大きな転機になっていることが伺えました。

「チャンスは突然やってくる。チャンスが来たら全力を尽くす」,「(大きな決断をするにあたって)理由は後づけ。自分の気持ちが大切」など,最終講義ならではの貴重なご経験談を拝聴することができました。

最終講義後は,大学内フレンチレストランにて,パーティーを実施しました。「これまで一緒に仕事をしてきた仲間とできるだけ多くの話がしたい」という今中先生のご意向により,セミクローズドな形式で開催されました。今中先生のお気持ちに答えるように,全国から多くの同窓生,お仕事仲間の方々が参集し,パーティーを楽しみました。

一日を通して,定年退職を残念に思うといった雰囲気は全くなく,むしろ,定年後の活動の発展が楽しみでしょうがない,といったムードで満ち溢れた,素敵な行事となりました。ご多忙の中,スケジュールを調整してご参加くださった皆様に心より感謝申し上げます。

  
     
     
     
     

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