セラピストにむけた情報発信



本紹介「地域高齢者のための転倒予防」




2015年5月11日

今回は,転倒予防に関する基礎的・実践的情報をまとめたものとして,数年前に出版された本をご紹介します。健康科学・スポーツ科学領域の専門家の観点でまとめられた良書です。

出村愼一(監修)「地域高齢者のための転倒予防-転倒の基礎理論から介入実践まで」,杏林書院,2012

内容は大きく分けて,理論編と実践編の2部構成となっています。

理論編では,「高齢者の転倒の概念と現状」と,「転倒関連体力とその評価」という章タイトルのもと,11のトピックが紹介されています。

いずれのトピックにおいても図がふんだんに盛り込まれており,概念の理解や,研究に使われた具体的な実験課題をイメージしやすい構成になっています。

また,各トピックには,読者の興味を惹く具体性のある話題が複数挿入されています。「元気な高齢者は,転倒しないし,ケガもしない?」「骨密度の低下はどのような要因に影響を受けるのか?」「バランス能力向上に有効な運動とは?」など,その答えが知りたくなるようなものがいくつもあります。

後半の実践編では,転倒予防が移入の具体的な手順に関する章,およびヨガやスクウェアステップなど,様々な試みに関する成果の紹介がなされています。普段セラピストの方々が目にする医療系の情報とは少し違った角度から転倒予防の情報を入手したいという場合にはお薦めと思います。


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