セラピストにむけた情報発信



Journal of Motor Behavior特集
“Neural Enhancement for Independent Living”




2015年4月5日

今回は,運動系の雑誌である,Journal of Motor Behaviorの特集号,“Neural Enhancement for Independent Living”(Vol 47, Number 1, 2015)について紹介します。

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この特集号のエディターは,Richard G Carson氏です。Carson氏は現在アイルランド在住ですが,オーストラリアのQueesland大学にいたころ,学会でお目にかかる機会がありました。まさしく頭脳明晰というイメージにピッタリな研究者であり,学会の中でも際立ってスマートな発言が多かったことが,鮮明に記憶に残っています。

今回の特集号は,ニューロリハビリテーションに関する6編の論文をまとめたものです。

通常,リハビリテーションの雑誌でこうした特集号が組まれる際には,脳(画像)研究が多くを占めます。しかしこの特集号では,むしろ行動をベースにした基礎研究に基づく論文が多くを占めます。このあたりが,運動系の雑誌において特集号を組んでいる大きな特徴です。

特集では,脳卒中患者,高齢者,パーキンソン病患者などを対象とした研究が紹介されています。たとえば,パーキンソン病患者の機能を行動レベルで評価する指標として,反応抑制課題(Response inhibition task)を使うことの妥当性を検証した論文があります。また,高齢者において両手間の運動学習転移が比較的うまくいくことから,健側で学習した運動を患側に転移させるといった考え方が紹介されています。

ニューロリハビリテーションに関する諸問題について,行動レベルの知見に関心がある方は,是非興味ある論文を読んでみてください。私自身もまだ抄録を読んでいるレベルですので,今後時間を見つけて楽しみたいと思います。


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