セラピストにむけた情報発信



第13回姿勢と歩行研究会




2015年3月16日

3月14日に,第13回姿勢と歩行研究会が開催されました。この研究会は,主として耳鼻科の医師の方々を中心とする研究会です。2013年に秋田にて国際姿勢と歩行学会(ISPGR)が開催されたときに中心となった母体でもあります。研究会のコンセプトはこちらをご覧ください。

全部で19演題の発表がありました。発表プログラムはこちらをご覧ください。

具体的なテーマとしては,立位姿勢動揺の問題,とくにめまいに関する研究発表が中心的でした。私個人の立場からすれば,めまいに関する臨床統計のデータや,特徴的な臨床事例について勉強する機会はほとんどありませんので,いつもとは異なる新鮮な情報を得ることができました。特に,今回の世話人をご担当された高橋正紘氏(めまいメニエール病センター)が発表された,1400名にも及ぶ高齢者のめまいに関する統計情報の知見は,非常に興味深く拝見しました。

また,永田久雄氏(労働科学研究所)が発表された,労働災害としての転倒事故の実態に関する統計情報も,大変大きなインパクトがありました。かつては労災事故といえば機械への巻き込まれ事故などが主流でした。しかしこの10年の統計を見ると,転倒災害による死傷者数が労災の主原因の一つになっているそうです。ことしから厚生労働省において「Stop!転倒災害プロジェクト2015」開始を宣言するなど,労災の現場においても転倒の問題は今後ますます注目されることになりそうです。

大きな注目を浴びた研究の一つが,河島則天氏(国立障害者リハビリテーションセンター)のグループが発表された,重心動揺リアルタイムフィードバック装置という,ユニークな装置の発表です。詳細は割愛しますが,姿勢動揺の結果を床面の動きに反映させるという装置を,リハビリテーションに応用しようという試みです。1つのテーマに対してチームで集中的に研究していくスタイルで,多くの情報をえることができました。

今回は聴衆として参加いたしました。私の研究室が得意とする,歩行の視覚運動制御のトピックは,必ずしもこの研究会では中心的な関心ではないため,なかなか積極的に発表できません。ただ,参加者との情報効果も含めて,有益な情報が得られる研究会の一つとして,今後もかかわっていければよいなと考えています。



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