セラピストにむけた情報発信



日本バーチャルリアリティ学会@名古屋



2014年9月22日

9月17-19日に,名古屋大学にて開催された日本バーチャルリアリティ学会に参加いたしました。首都大学東京の池井寧氏のオーガナイズで企画されたシンポジウム「身体的超臨場感」において,話題提供をいたしました。

話題提供者は私のほかに,北崎充晃氏(豊橋技術科学大学),そして佐藤徳氏(富山大学)でした。3名とも,実験心理学を専門とする研究者です。

各話題提供者の発表概要は,こちらをご覧ください

北崎氏は,オプティックフローの情報に基づく自己運動知覚に関する様々な実験内容をご紹介くださいました。全く同一の刺激を見ても,どこに注意を向けるかによって,自己運動知覚の方向性が変わることや,多感覚情報に基づいて自己運動知覚が生起されることなどが説明されました。

佐藤氏は,身体に基づく所有感・自己意識に関する国際的な研究動向についてご紹介くださいました。ラバーハンドイリュージョンや,幽体離脱体験(out of body experience)など,この領域でポピュラーな研究対象について,様々な研究事例が紹介されました。

偶然とは思いますが,北崎氏も佐藤氏も,自己運動感覚や幽体離脱の生起には個人差があり,視覚優位な人と前庭感覚優位な人とでは,どうやら違いがありそうだ,という話をされていました。このような個人差を直接的に扱うのは,なかなか統計的な検討が難しいため困難を要するのですが,実際に実験をしていると,たとえ健常者であっても様々な個人差があることを強く認識します。お二人の話を伺いながら,私が持っているデータの個人差要因について,もう少し真剣に向き合ってみたいなという気持ちになりました。

発表後は,池井先生を囲んで談笑する機会がありました。池井先生が現在遂行されている超臨場感的実験にまつわる現状の課題をお話しいただき,その解決法について,話題提供者がそれぞれ私見を述べるという機会となりました。こういうフランクな会話の中にこそ,各研究者の考え方の個性が垣間見えることがあります。シンポジウムと合わせて,とても良い刺激をもらいました。


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