セラピストにむけた情報発信



日本カイロプラクティック徒手医学会関東支部勉強会報告




2010年7月6日

7月4日に神奈川県相模原市にて,標記勉強会が開催されました.

主催者の中に,視覚と身体運動の関連性にご関心のある方がいらっしゃっり,「視覚の身体運動への応用」というタイトルで,お話する機会をいただきました.

参加者の方からは,私からの話題提供に対して様々なご意見を頂戴いたしました.

たとえば,「健常者が狭い空間を歩いて通り抜けるときには,隙間の中心に視線を固定して通り抜ける」ということについてお話をしたところ,女性参加者の方から,「非常に混雑した駅の中で頻繁にぶつかることがあったが,視線を歩行者ではなく,1m先の空間に向けるようにしたら,不思議とぶつかることが少なくなり,驚いた」というご経験談を伺いました.

また,本学大学院生の吉田啓晃(東京慈恵会医科大学附属第三病院勤務)が実施している研究として,「脳卒中片麻痺患者が歩行中に下方を向いて歩く研究」についてご紹介しました.そのなかで,もともとの歩行速度が低い人ほど,下方を向いて歩く傾向が高いかもしれないという成果を報告しました.

この結果に対して,日本カイロプラクティック徒手医学会理事の鈴木明弘先生より,「脳卒中片麻痺患者のうち,歩行速度の低い患者は,上肢と下肢の協調動作が非常に苦手である場合が多く,協調に関わる脳機能の問題として観察・評価している.上記話題もこうした脳機能との関連で考察できるかもしれない」というコメントを頂戴しました.

”低速歩行”と”下方を向く歩行”との関係には様々な理由付けが可能であるため,その特定が難しいのですが,脳機能に着目する際の有力な情報をいただくことができました.

勉強会では私の発表以外に,カイロプラクティックや腰痛治療に関する話題提供がありました.痛みの問題は客観的な評価が難しく,研究として扱いにくいため,私にとっては平常の研究活動では情報を得にくい問題の1つです.お二人の話題を通して,臨床では患者さんの痛みにどのように向き合い,対処していくのかについて,実践的な情報を吸収することができました.

内容は,企画者のWebページでも紹介されています.


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