セラピストにむけた情報発信



研修会報告:「歩行フォーラム」 (主催, senstyle)




2010年6月28日

6月26-27日の2日間にわたって,Selsetyle主催「歩行フォーラム」が開催されました.私自身は初日のみの参加となりましたが,あいにくの雨模様の中,400名を超える参加者が集まる中で,研修会が実施されました.

初日は私の他に,3名の先生が発表されました.

石井慎一郎先生(神奈川保健福祉大学)は歩行の制御の基礎から,変形性膝関節症を中心とした下肢疾患患者の歩行と治療について,3時間にわたり講演をされました.

歩行実現のための運動学的なメカニズムについて,これほどまでにわかりやすく,また論理的な説明を聞いたのは初めてであり,私も聴衆の一人として話に聞き入りました.実際,私は文学部出身ということもあり,歩行の制御に関する知識はほぼ独学です.こうした体系的かつ初学者にもわかりやすい石井先生のご説明は,教える立場としても大変参考になりました.

上島正光先生(ハーベスト医療福祉専門学校)は,足底板を用いることによる歩行の改善効果について,基礎的な考え方から歩行改善に関する実証データに関する説明がありました.足底へのテーピングや足底板の利用により,足と靴との関係を変化させることが,歩行中の下肢全体の協調関係に影響するということについて説明してくださいました.

尾田貴雄先生(ミズノ株式会社)は,ミズノ製のシューズのソールに秘められた構造やその利点について解説をしてくださいました.現在ワールドカップで活躍されている本田選手が使用しているシューズもミズノ社製です.無回転ボールを蹴りやすくするためのシューズ開発についても触れてくださるなど,多くのエンターテインメントが含まれた話題でした.

私自身は,「知覚・認知が歩行に及ぼす影響について」というタイトルのもと,視覚と歩行に関する学術的な成果の紹介や,私自身が研究に関わる臨床的な研究成果について紹介しました.

今回の研修会の中で,私が話した知覚認知の話題は極めて風変わりな内容でした.しかし多くの若いセラピストの方々が,そうした話題に積極的に耳を傾けてくださった結果,大変よい雰囲気の中で話をすることができました.

私にとって,関西地区で研修会の講師を担当したのは今回が初めてでしたが,要所で良いリアクションをして下さるなど,聴衆の方々に助けられながら発表を進めているという感覚を強く持ちました.発表後にも多くの方がご意見やご質問を下さることで,私自身も新しい情報や考えを参加者の方から頂くことができました.

研修会に誘ってくださったSenstyle代表の国中優治先生(九州中央リハビリテーション学院)初め,Senstyleの関係者の方々に心より感謝申し上げる次第です.チームの皆さまは同じユニフォームをまとい,非常に組織化された動きで,大人数が参加する研修会を取り仕切っておられました.こうした運営面でも大変勉強になりました.


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