セラピストにむけた情報発信



運動学習における教示法の考え方(雑誌「理学療法」)



2010年1月29日

雑誌「理学療法」の特集号において,教示に関する拙著論文が掲載されました.

樋口貴広・池田由美・安田和弘(2009) 運動障害に対する言語的教示法の考え方 (特集「運動障害に対する教示法─感覚・知覚・認知情報処理とその実際).理学療法,26(12),1419-1423

論文の内容については,共著者である大学院PTの安田君も紹介をしてくれています.

はじめにこの論文執筆依頼を受けた時には,言葉を通して伝えること(instruction)としての教示について解説せよ,という依頼だろうと推察しました.しかしながら,同じ特集号で掲載される予定の論文タイトルを見ますと,“視覚的教示”,“体性感覚的教示”というように,必ずしも言葉に特化した話題ではなく,患者さんに対して“効果的に教え示すこと”の総称語として,教示という言葉を用いているのだと解釈しました.

さらに,企画の先生から提供されました企画意図を読むことで,本企画の重要なポイントは,患者さんに自己の状況を正しく自覚し,さらに目標とする動作を正しくイメージしてもらうために,有効な教示法を提案することであると認識しました.

このような企画意図の認識と,特集号のトップバッターとしての役割の意識から,患者さんが自己の身体の状況を認識することに関して概論的な情報を提供することとしました.

具体的には,セラピストの皆さんが患者さんの身体や動作に対する客観的な情報を伝えても,患者さんの身体に対する認識が変わらないのはなぜか,といった問題に対して,身体意識の生起メカニズム,および注意の観点から説明をしました.

スペースの制約もあり,ごく簡単に内容が説明されていますが,患者さんの身体認識について検討する上での一助となれば幸いです.


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