セラピストにむけた情報発信



東京都保健福祉局・リハビリテーション研修



2010年1月25日

1月18日(月)に,東京都保健福祉局にて,東京都立の病院に勤められている方々を対象とした研修会講師を担当いたしました.研修会には理学療法士,作業療法士の方々に加えて,言語聴覚士,看護師など,様々な職種の方にご参加いただきました.それぞれの病院で高い役職に就かれている方々の参加も非常に多く,いつも以上に身の引き締まる思いでありました.

研修会では3つのトピックスをご紹介しました.

1つ目の話題は「視覚と歩行」です.私たちの研究室のメインテーマの1つということもあり,歩行の制御に視覚がどのように貢献しているかということについて,専門的な話題を提供しました.私たちが現在取り組んでいる複数の研究テーマについてもご紹介し,リハビリの現場で働いていらっしゃる聴衆の方々の反応を伺いつつ,話題提供をいたしました.

2つ目の話題は,「使いにくいデザインの心理学」として,生態心理学の基本的な発想を,身近な道具のデザインに関連させて話をしました.リハビリに直結するような話題はほとんどありませんでしたが,提供した話題を通して,「同じ場面で何度も同じ失敗を繰り返す患者さんがいる場合,それは患者さん個人の問題として捉えるのではなく,その場面に潜む問題,あるいは患者さんと環境との関係性に潜む問題として捉えると,新しい介入方法が見出されるかもしれない」というメッセージを伝えたつもりです.

3つ目の話題は,「コーチング」です.どんなに専門的見地から見て正しいリハビリテーションのメソッドが存在するとしても,患者さんがそれを積極的に実行してくれない限り,その効果は得られません.ここでは患者さんのやる気を引き出すコミュニケーションスキルとして,コーチングの基本的な知識について説明をしました.

東京都保健福祉局での研修会担当は昨年に引き続き2回目ということもあり,通常こうしたセミナーで提供する話題とは異なるものを選択しました.何か1つでも参加された方々の役に立つ情報が含まれていれば,と願う次第です.



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