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観光地理情報学は,地理情報科学(GIScience)の知見を活かし,観光に関わる諸問題に取り組む新しい学問分野です.
地理情報科学という言葉自体,まだあまり馴染みのない分野かも知れませんが,一言で言うと電子地図とその応用について取り組んできた分野です.みなさんもカーナビゲーションシステムやグーグルマップなどで,電子地図に触れたことがあるでしょう.このような電子地図は,ただ「地図を見る」「道を案内する」というだけではなく,地理学や生態学などの分析に用いられたり,あるいは施設や顧客のデータ管理に使われたり,さらに今日では「人々が口コミを交換する」場所として用いられています.このような電子地図を基盤にした情報案内・分析・管理・コミュニケーションなどのさまざまなシステムを総称して地理情報システム(GIS=Geographic Information Systems)といいます.そして地理情報科学は,地理情報システムの可能性を開拓する学問と言うことができます.
そして,とりわけ地理情報システムの可能性を観光分野で切り拓いていこうとする分野が観光地理情報学です. 観光地理情報学の3つの柱
それでは,地理情報科学は観光とどのように結び付けていくことができるのでしょうか. テーマ1:観光現象の空間的分析
第一の課題は,観光の現場で何が起こっているかを地理学的な観点から分析しることです.地理情報システムはそのための強力なツールとなります.分析対象は,観光資源や顧客の空間分布といったマクロなものから,一人一人の旅行者の行動といったミクロなものまで多岐に渡ります. テーマ2:観光従事者の意思決定支援
観光施設をどこに配置すれば良いのか? どのルートを観光街道として整備していけば良いのか?どの地域に住む人々に需要開拓していけばいいのか? などなど,観光事業に空間的な意思決定問題はつきものです.我々は地理情報システムを利用し,このような意思決定を支援します.地理情報システムのメリットはシミュレーションによって事業の効果測定が可能なことです.そしてこのためには,1の分析結果に基づき,適切な数理モデルを構築していくことが研究の重要な鍵となります. テーマ3:観光情報システムの開発
旅行者の意思決定を円滑にし,旅行体験を充実したものになるよう支援する情報システムの開発に取り組みます.ただし,我々は「モバイル技術を駆使して,旅行者により多くの情報メニューを与えればそれでよい」と考えているわけではありません.我々は,観光学の培ってきた旅行者行動の研究知見に立ち,またフリークエントトラベラーとしての自分自身の経験を大切にしながら,あくまで旅行者の視点に立った情報システムの開発に取り組んでいきます.そこでは,利用者に応じて情報を賢く精選し,適格にアドバイスを行う仕組みづくりや,旅行者同士のあいだで情報交換が盛んになるような仕組みづくりが大きな課題になると考えています. 観光地理情報学について学びたい方に東京都立大学では,次の授業を開講しています.
また,大学院にて研究指導を受けたい方は,学科の入試案内をご覧下さい. 最後に
研究分野も研究室もまだまだ立ち上がったばかりですが,興味のある方はぜひ門戸を叩いてみてください. 連絡先:倉田陽平 (ykurata[at!]tmu.ac.jp) |
  | 最終更新: 2010.4.1 |   |