高校生が数学を好きになるにはどうしたらいいか考える@田園調布雙葉高等学校
概要
日時:2015 年6月17日(水)10:45-12:35
場所:田園調布雙葉高等学校
担当教員:福田公子(生命)・高津飛鳥(数理)
GPアシスタント:物理・博士後期1年1名
参加者数: 高校生15名
【プログラム】
(小林潤一郎先生の社会情報学の公開授業の一環として実施)
(1) 全体の流れの説明(小林先生)
(2) 自己紹介
(3) 数学についてアンケート
(4) 高校数学裁判
- 原告 裁判官 生徒
- 被告 数学
- 弁護人 大学教員(数学、生物)
大学院生(物理)高校教員(数学)
社会人(大日本印刷 ITメディアの方)
(6) 発表
(7) まとめ
(8) 生徒フィードバック入力
本プログラムを実施することになった経緯
品川女子学院や雙葉高等学校で「数学を面白くする講座」を昨年度まで実施し、以下の2点が反省としてあげられました。
1. 準備に非常に多くの時間がかかる
2. 高校生が聞いているだけで、自分で考えるシーンが少ない
そこで、「女子高校生自身にどうしたら数学が面白くなるのか考えてもらう」という内容の講座を開くことを考え、田園調布雙葉高等学校の小林教諭に相談したところ、自分の授業の「社会情報学」の一環としてやってもよいと快諾していただき、このプログラムを実施することになりました。
本プログラムの様子
本プログラムは情報の授業でもあることから、ICT(情報通信技術)教育として大日本印刷のデジタルペンを授業支援ツールに使用しました。デジタルペンを使うことで、配布したワークペーパーの生徒の書き込み内容を全員がその場で共有することが可能になり、議論を進ませるのに非常に効果的でした。
今回は、右のようなワークペーパーを使い、アンケートをとりながら、講座を進めました。高校3年文系コースの学生だったので、最初のアンケートで「数学が嫌いである」という強い意見が多かったです。そこで、ワークペーパーに「数学を嫌いになった理由」を書いてもらいました。すると、ある時期(多くは中3から高1)に数学の問題が解けなくなり、それを教員に咎められたり、放置された経験があるという人が多いことがわかりました。
次に高校数学裁判と称した討論会を行いました。原告である高校生に、数学で嫌いな単元をあげてもらうと「三角関数」「虚数」「証明問題」などの多くの単元が上がったので、それらがのちにどのようなシーンで必要となるのかを我々が説明をしました。また、公開授業に同席していたデジタルペンの販売を手掛ける大日本印刷株式会社の社員の方にも、文系職おける証明問題の必要性についてを説明してもらいました。
続いて、高校生にチームを作ってもらい、数学を好きになるにはどうしたら良いのかを考え、発表してもらいました。
【数学が好きになるには】
- イケメンか可愛いか、面白い先生を数学の先生にする
- 先生に数学がわからないということを分かってほしい
- わからないところは、わかった友達から習い、それで分かった人がさらにわからない人に教えるなどの工夫
- 1クラスの人数を減らす
- 数学が何に役に立つのかも教える
最後にこの授業の感想を入力してもらい、授業を終えました。
担当教員の感想
今回は珍しく文系志望学生のみの受講となったので、これまでの講座よりも、数学が嫌いな生徒が多くいました。生徒達が数学を嫌いになってしまうのは、非常に早い時期に受けた一つのつまずきから回復できずにいるためであることが分かりました。
生徒達は授業をどうすれば良いのかも真剣に考えており、【数学が好きになるには】の1項目「イケメン、、、」は、次の2項目の、自分の気持ちを汲み取って欲しいということの裏返しだと思われました。3項目の学び合いのアイデアを含めて高校数学を変えることは、理系進学支援の大きな項目になると思われます。
また、感想にもありましたが、このように「自分の受けている授業を振り返って、改善点を考えるという行為をもっとやりたい」と考えている生徒もおり、授業を受け身でなく、能動的に受けるというアクティブラーニングを行う上で、今回実施したようなプログラムが必要になるのではないかと考えられました。
今回の講座は、こちらから高校生に説明するというこれまでの方法に比べ、準備の負担が少なく、少人数で対応できたが、生徒の意見をうまくまとめるファシリテーターの力が必要になるため、生徒数が多くなると、それに対応できるファシリテーター役の確保が難しくなることが考えられます。
メディア取材
本授業講座はリセマムの取材を受け、内容は以下に掲載されています。 http://resemom.jp/article/2015/06/29/25418.html