臨床心理学
Clinical Psychology

臨床心理学分野における教育の特徴
  • 博士前期課程の臨床心理学分野は、臨床心理士養成コースとして第2種指定大学院になっています。また公認心理師受験資格に対応しています。まず臨床心理分野の大学院で重視されるのは臨床心理基礎実習と臨床心理実習および心理実践実習でしょう。
     臨床心理士や公認心理師資格取得に対応した具体的な実習は、1年目の病院実習と、小中学校などでの実習があります。病院実習では、さまざまな病理的な心の問題について実際に現場で学ぶとともに、医療職の指導の下で心理職の専門性について学びます。 さらに学校実習では、実際に子どもたちの毎日の学校生活に寄り添う形で子どもたちが抱える課題やその支援について教員と共に考えてゆきます。この学校実習は単に臨床実習というだけでなく、臨床心理学研究室による地域支援としての意味もあります。 また児童養護施設や障がい者就労移行支援施設、少年鑑別所などの実習もあります。
     当分野は第2種指定大学院ですが、心理相談室があり、修士1年生から主に子どもたちのケースを担当します。毎週金曜日の夜に行われるケースカンファレンスはその報告の場です。毎回、博士前期課程の院生のみならず後期課程の院生や教員などが出席し、 担当しているケースの事例発表に対して、教員それぞれの専門性を活かした幅広い見方で様々な角度から検討を行なっています。
     このように実践づけの毎日ですが実証研究の面も重視しています。これは単に数値による研究を行うという意味だけではなく、臨床現場で起こっていることを記録し、それを元にして何が起こっているのかを見立て、また実践していくという心理臨床の活動が、 まさに仮説を立て検証していくという実証研究と考えられます。何を研究テーマに選ぶかは院生それぞれの個人的な意志を尊重しますが、研究者であるという自覚を持って、ユニークな視点で自主的に臨床研究に取り組んでいただきたいと思います。
     博士課程は一貫制ではないので、前期だけで修了することも可能ですし、若干名ですが試験を受けて後期課程に進むこともできます。また博士後期課程では臨床研究に意欲のある他大学の大学院修了生も受け入れています。博士後期課程は心理学分野に統合されています。 そのため心理学の研究者の一員として心理臨床的な視点で研究に取り組んでいくことになります。博士後期課程は下川昭夫教授と勝又陽太郎准教授が現在担当しています。特に他大学からの進学希望者は試験直前ではなく早めにコンタクトを取り、自分の研究したいことと希望する指導教員の専門性が合っているかどうか確認してください。
     臨床心理学分野では、臨床実践にしろ研究にしろ、縦横の人間関係を大切に考えています。様々な分野を超えて先輩にいろいろ教えてもらいながら、自分にあった臨床実践と研究テーマを自主的に見つけ出していってください。