研究内容Research

ブラックホール

当研究室で行われている研究の紹介

 宇宙物理学は、力学、流体力学、電磁気学、相対論などの基礎的な物理学に基づいて、宇宙・天体の構造や進化を解明するとともに、さまざまな現象の中に物理学の興味ある対象を見い出し解析していくことを目的としています。当研究室では、その中でも高エネルギー天体現象、銀河・銀河団の形成および進化、それらの研究の基礎となる物理過程について理論的、観測的研究を行っています。研究テーマは多岐にわたり、研究方法も基礎理論からコンピューターを用いた数値計算やシミュレーション、多波長の観測データの解析などと幅広いです。また、当専攻の宇宙物理実験研究室の他、国内外の理論、観測研究者とも協力しながら研究を進めています。特に当研究室は2023年度打ち上げ予定の XRISM X線観測衛星計画に中心メンバーとして参加している日本で唯一の理論研究室であり、XRISM の最新データを用いた新理論の構築を目指しています。

高エネルギー宇宙物理

 クェーサーや銀河中心核、X線連星、γ 線バースト、超新星残骸などの活動天体の理論モデルの構築と物理過程の解明を目的とします。具体的には、ブラックホールや中性子星へのガス降着、X線・γ 線などの高エネルギー電磁波放射機構、高エネルギー粒子の生成や伝搬、相対論的ジェットの形成機構などについて研究を行っています。また最近は ALMA 電波望遠鏡を用い、銀河中心の超巨大ブラックホールへのガス降着過程についての観測的研究も行っています。

銀河・銀河団の形成と進化

 銀河団ガスの力学的構造や粒子のエネルギー分布、熱的・化学的進化を通して、銀河・銀河団など宇宙の構造形成と進化を解明するための研究を行っています。また、膨張宇宙における密度ゆらぎの成長の理論に基づいて、銀河や銀河団の形成・進化を記述する理論モデルを構築し、それをX線や可視光などの様々な観測データと比較、検討をすることで、銀河、銀河団の形成・進化の物理過程を理解することを目指しています。

宇宙プラズマの基礎的物理過程

 宇宙プラズマの組成や構造、輻射や粒子の輸送過程などを定量的に解明するため、粒子衝突や放射の素過程について基礎的研究を行っています。また、星間ガスや銀河団ガスでの衝撃波や乱流による粒子加速の基礎過程の研究も行っています。