研究内容


専門

放電物理,プラズマ電子工学,静電気学,動電学,生体電気工学,計測・センサ工学


研究キーワード

マイクロプラズマ(Microplasmas)

  高圧力・極短ギャップ下で生成される非平衡微小放電。局所性,微小性,反応性を兼ね備えた未来志向の”使える”プラズマ。

マイクロ動電学(Micro-electrokinetics)

  電極付きマイクロチャネルにおける微粒子の電気的な力学現象論。電気泳動,誘電泳動,電気浸透などがある。新材料合成やバイオ応用への新たな扉を開く”面白い”流動現象。

マイクロバイオ電気技術(Micro-bioelectrotechnics)

  微小空間中で生体細胞に電気的刺激を付与する技術。パルス電界印加やプラズマ照射により,代謝機能を直接制御する”斬新な”バイオテクノロジー。


研究テーマ一覧

マイクロギャップを用いた泳動濃縮およびパルス電界殺菌(2006.4.1-現在)

 [研究概要]

 食品衛生の厳格化に伴い,製造工程中の即時殺菌が必須となっている.しかしながら,すべての食品に対して,従来の熱処理で対応するのは困難である.本研究では,電極付きマイクロ流路を用いて,病原菌を誘電泳動によって選択的に検出且つ濃縮し,低電圧・小電力によるパルス殺菌を行う手法について検討した.周波数100 kHzにおいて,大腸菌が効率的に濃縮された.また,高速半導体スイッチを用いて,100 Vのパルス電圧を印加したところ,1時間で90%の菌が死滅した.本条件では,泳動濃縮による付加効果によって,殺菌効率は25倍に改善された.

 [研究成果]

J. Electrostat., 66, 427 (2008)

 

マイクロプラズマ中における放電基礎特性の数値解析(2003.4.1-現在)

 [研究概要]

 間隔がmmオーダーの電極に電圧を印加すると,大気圧中でも比較的容易に放電が生じる.このような微小空間中の放電をマイクロプラズマと呼んでいる.マイクロプラズマは高圧下での半導体プロセスや面放電による照明,微小反応場の創生など幅広い応用が期待されている.しかしながら,高密度なプラズマ生成によるガス加熱が顕著になり,放電の不安定性を引き起こしやすい。また,放電体積が極端に小さくなるため,放電特性に対する壁の影響が顕著となると考えられるが詳細なデータはあまり得られていない.そこで,本研究では流体モデルを用いて,マイクロプラズマの放電構造を模擬し,ガス種,ガス温度,ガス流および幾何形状に対する放電諸特性を検証する.

 [研究成果]

 

誘電泳動および蛍光分光を併用した微生物のモニタリング(2002.4.1-現在)

 [研究概要]

 悪性細菌による集団食中毒や院内感染の急増は現代社会において最も深刻な問題の一つとなっている.そのため,感染の未然防止を目的とした細菌の常時モニタリングが検討されている.しかしながら,高速検出性と細菌選択性を兼ね備えた有効な手法は,現在のところ確立されていない.そこで本研究では,誘電泳動インピーダンス計測と分光光度分析を併用した細菌のモニタリングシステムを開発した.本手法により,大腸菌および枯草菌の菌密度を培養法と同程度の精度で推定できた.また,吸光スペクトル解析によって選択的な菌種間の検出ができた.

 [研究成果]

 ※若手奨励研究(総長特別研究)の成果報告書(25kB)はこちら → ダウンロード

 

高周波駆動プラズマディスプレイのシミュレーション(1999.4.1-2004.3.31)

 [研究概要]

 近年,放電発光デバイスであるプラズマディスプレイ (PDP)はその性能向上とともに,高精細大型モニタとして普及してきた.しかしながら,他の有力なディスプレイに対する優位性を維持するためには発光効率の飛躍的な向上が必須となる.最近,高周波(RF)駆動下では効率的な電子加熱によって励起および発光過程が促進されるという報告がなされた.そこで本研究では一次元流体モデルによるRF-PDPの放電構造を模擬し,各種条件下での放電特性と発光特性を解析した.本解析結果から放電維持および消去の判定基準を明らかにした.また,紫外線放射効率の周波数特性を示した.

 [研究成果]

      

Electrical Engineering in Japan, 162, 1 (2008)
電学論A,126, 1205 (2006)

 

プラズマディスプレイ用ガスの放電諸量解析(1996.4.1-2002.3.31)

 [研究概要]

 放電発光デバイスであるプラズマディスプレイ(Plasma Display Panels: PDP)は,他の表示装置に比べて大画面化・薄型化が容易であることから,その市場は今後数年で飛躍的に発展すると予想される.しかしながら,現行PDPの駆動電圧および発光効率は,工学的に満足のいくものではない.そこで本研究ではXe/HeおよびXe/Ne混合希ガス中の放電諸量をボルツマン方程式を用いて計算し,ガス混合比,ガス圧および入力電力に対する最適条件を選定した.また,ArやKrの添加による励起移行効果の詳細な解析を行い,エキシマガスの有用性についても検討した.

 [研究成果]

電学論A,122, 729 (2002)
J. Phys. D, 34, 947 (2001)
J. Phys. D, 33, 62 (2000)

※詳細は著書・業績欄 「学位論文」参照

 

オプトガルバノ効果の検証実験および理論解析(1994.4.1-1998.3.31)

 [研究概要]

 レーザ光照射による放電インピーダンスの変化(オプトガルバノ効果 Optogalvanic effect)を利用したオプトガルバノ分光法は操作が容易で安価なプラズマ診断技術であり,放電中の電界値を求めるのに極めて有効な手段である。しかしながら,励起分子密度と放電インピーダンスの相関が明確ではないため,他のレーザ分光法のような選択的な励起状態の解析は行われていない.本研究ではボルツマン方程式解析、レート方程式解析およびプロパゲータ法を用いて,Ne放電中のレーザ光吸収過程を模擬し,実験結果とのよい一致を得た.

 [研究成果]

   

電学論A,118, 622 (1998)


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